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終わらない仕事を前に、効率化を図り、生産性を高めようと時間管理を始める。だが、そうすることでかえってストレスが増えたり、プレッシャーが高まったりする。時間に余裕ができることで、対処するタスクが増えてしまうからだ。仕事の世界にある需要は無限で、すべての物事に対処しようとすれば、バーンアウトを引き起こしかねない。そこで必要なのが、タスクそのものを減らす戦略だ。本稿では、時間管理の罠から逃れ、判断疲れを回避し、必要なタスクに集中するための3つの戦略を紹介する。


 たいていの人にとって、ストレスの主な原因はいつも時間が足りないと感じることである。

 そこで私たちの多くは、時間管理(タイムマネジメント)を始める。効率化を図ることで1時間の会議を30分の枠に押し込んだり、小さなタスクをカレンダーの隙間に入れたりして、非生産的な時間を最小化しようとするのだ。

 しかし逆説的なことに、時間管理によって私たちが直面するストレスは減るどころか、むしろ増えることが多い。効率化されることで、さらに多くのタスクに対応する時間ができ、さらにプレッシャーを感じるようにさえなる。

 打ちのめされた気持ちになった時には、根本的な原因を潰すに限る。すなわち、タスクも意思決定も、気が散って仕事のじゃまになるものも、とにかく多すぎる状況に対処することだ。

時間管理の罠

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴ってリモート勤務へ移行する動きは、興味深い自然実験の場となり、時間管理のパラドックスを浮き彫りにした。

 4分の3以上の人々が、在宅勤務によって時間を節約できると答えている。これは一般的に通勤や出張に関連する時間の節約を指し、リモート勤務をする人の約半数が、いまのほうが生産的だと答えている。

 このように時間の節約や生産性の向上が自己申告されているにもかかわらず、エンタープライズソフトウェア開発会社であるアトラシアンのデータによれば、平均勤務時間はグローバルで丸30分延びている。時間をより生産的に使っている事実から予想されることとは、反対の現象が起きているのだ。

 さらに事態を悪化させているのは、その30分という追加された勤務時間のほとんどが、本来ならば余暇に当てられたはずの夜の時間を削って捻出されていることである。

 時間管理は、私たちが仕事を効率化することで、やることリストをすべて、余裕を持って完遂できることを約束する。だが実際のところ、時間管理は砂浜で穴を掘っているようなものだ。掘った穴が大きければ大きいほど、大量の水が流れ込み、その中を満していく。

 無限の需要があると思われる世界で、自分のカレンダーに1時間の空きを設けることは、別のプロジェクトに飛び込んだり、さらに役割を引き受けたりする余裕があると宣言する信号弾を打ち上げるようなものだ。

 時間管理に価値がないと言っているわけではない。たしかに生産性は重要だ。しかし、バーンアウト(燃え尽き症候群)が蔓延している世界においては、すべてに対応するのではなく、対応すべき物事の量そのものを減らす戦略も必要になる。罠から逃れるためにできる3つのことを、以下に紹介しよう。