障壁

 人間がつくるサプライチェーンの大半において、製品の部品は急激に増え、生産が一元化されてきた。これは、2つの重要な目標を達成するためだ。「部品の特殊化による成果向上」(多くの特殊化された材料と設計で機能性を高める)と、「規模の経済による経済効率性」(大規模な工場で固定費を共有し、複雑な流通システムによって広域に配送する)である。

 ほとんどのサプライチェーンはこれらの目標に向けて最適化され、循環型ビジネスモデルの導入は――当面の間は間違いなく――法外なコストを伴う。

 製品や部品をリサイクルまたは再製造するには、使用場所から製造場所へと戻すために、回収システムは広大な距離をカバーしなくてはならない。加えて、部品が特殊化されているため、リサイクルに値する十分な量の部品を集めるのが極めて難しい(あるいは、何千もの異なるプラスチック類似物を構成する基礎的金属、基礎的シリコンや基礎的炭化水素にまで徹底的に分解することが必要となる)。

 長期的に見れば、循環性の向上に向けた動きを後押しできる技術開発は進行している。すでに家庭用の3Dプリンターは1000ドルほどで購入でき、個々人の仕様でさまざまな形のプラスチックを生成できる。金属の3Dプリントも性能と価格の面で急速に進歩し、従来のいかなる技術でもつくれなかった形を生成できるようになるはずだ。

 3Dプリントの導入が広がるにつれて、サプライチェーンの分散化はより経済的になるだろう。複雑な製品を最初に組み立てる工場は、たしかに今後もしばらくは一元化が必要かもしれない。しかし、予備部品については、原理的には使用場所へと完全に分散化できる。

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 少なくとも当面の結論として、循環型サプライチェーンを広く普及させるには、企業は大規模製造工場の経済性をある程度放棄し、部品の特殊化(ひいては機能性)を抑える必要がある。消費者は機能が少し劣る製品を手にすることになるが、これまでの経験を踏まえると、ほとんどの消費者は――現時点では――環境の持続可能性のために機能を諦める意向を持っていないのだ。

 ビジネスは消費者の欲求を追いかけるものだ。結果的に循環型サプライチェーンは、少なくとも短期的には、最初からごく自然にローカルでシンプルなものを除いて、あまり一般化しないままである可能性が高い。


"Circular Supply Chains Are More Sustainable. Why Are They So Rare?" HBR.org, June 15, 2021.