●メンタルヘルスのサポートを強化する

 上級管理職の女性は、燃え尽きを感じる水準にある傾向が男性よりも著しく高く、米国疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、母親になったばかり女性の8人に1人が産後うつの症状を経験している。さらに、メンタルヘルスの状態を自己申告した従業員の67%がケアを受けるのが困難だと答えている

 このような状況は、雇用主にとっては介入する明確な機会といえる。雇用主は、従業員に選択肢を提供するメンタルヘルスの専門家である必要はない。多くの専門家がデジタルのサービスを提供しており、そのような専門家と手を組み、職場のウェルビーイングに取り組む社内のケイパビリティを高めることができる。

 雇用主はパートナーと協力して、利用可能なメンタルヘルスサービスが、身体的なヘルスサービスに関する会社の基準と一致していることを確認できる。特に、利用可能で、文化的に適格で、ジェンダーに配慮した質の高い治療を提供する専門家にアクセスできることが重要だ。

 バーチャルおよびデジタルのサポートを強化し、柔軟な働き方に関する規範を改め、ジェンダーに特化したプログラムを提供する雇用主は、従業員のメンタルヘルスを大きく改善することができるかもしれない。

 ●利用できるものを伝える

 メンタルヘルス関連のリソースが利用できても、多くの従業員はそれを知らない。大企業の4社に3社、中小企業の半数は、医療手当を補完するために少なくとも一つのメンタルヘルスのリソースを提供している。しかし、雇用主の半数は、認知度の低さが従業員支援プログラム(EAP)の利用率の低さにつながっていると述べている。

 一連の利用可能なメンタルヘルスのリソースや福利厚生を構築することが第一歩だが、従業員がそれらを利用する方法を確実に知ることができるよう、雇用主は対策を講じなければならない。経営幹部のプラットフォームを利用して情報を発信している企業は4分の1に留まっている。

 女性リーダー、特に自身の経験を共有する女性リーダーからのメッセージは、助けを求めることで弱いあるいはプロ意識が低いと思われると考える女性従業員にとって重要だ。

 ●進捗状況と成果を測定する

 従業員のウェルビーイングを積極的に追跡しなければ、アカウンタビリティを果たすことはほぼ不可能だ。企業は、メンタルヘルスに関するリソース(EAPやデジタルツールなど)の利用、提供するリソースに対する従業員の経験や満足度、福利厚生が、特にワーキングマザーのようにストレスを多く抱えている従業員の健康に与える影響について、目標とする成果を示すことを検討すべきだ。

 雇用主のための測定ツールには、集計された苦情データの分析、従業員調査、フォーカスグループ、ライブエクスペリエンスパネル、職場のメンタルヘルスに関する総合的な評価ツールなどがあり、福利厚生やプログラムが従業員のニーズを満たしているかどうかを評価することができる。

 そして、何よりも行動することだ。仕事とプライベートの境界線はなくなりつつある。職場での女性のメンタルウェルネスに前向きな影響を与えるために、雇用主は戦略的に、公平に、そして積極的に行動しなければならない。そのためには、プロセス、ポリシー、システムの革新と変革が必要だ。

 職場におけるメンタルウェルネスは一朝一夕に達成できるものではないが、企業が従業員のメンタルヘルスをビジネスの中核的な優先事項にすることは、すべての人にとってのよりよい職場文化と、よりインクルーシブな経済を構築するために必要な出発点となるだろう。


"5 Ways Employers Can Support Women's Mental Health," HBR.org, June 11, 2021.