恐れに対処する

 ●誤解1:コントロールの喪失

 企業幹部は、一部の従業員にフレキシブルワークを認めると、パンドラの箱を開けたようになり、危険な前例をつくると懸念する。少数の従業員に在宅勤務を認めると、オフィスには常に人がいなくなり、誰も仕事をしなくなるのではないかと心配するのだ。

 これに対する解決法は、「体制」と「明確さ」だ。フレキシブルワーク・ポリシーを正しく策定し、そのポリシーを実施している組織は、何も失わないことを保証できると言ってもよい。

 組織のコントロールと円滑な運営を維持するためには、基準を設定し、それを明確に伝えることが不可欠だ。

 組織は、提供するフレキシブルワークの種類(リモートワーク、時間短縮、非同期的な勤務、ジョブシェアリング、コンプレストワークウィークなど)に関する明確なガイドラインをつくり、それが公平であることを保証するために、フレキシブルワークのための集中管理型の承認プロセスを構築しなければならない。また、チームメンバーがいつ、どこで仕事をしているかを追跡するためのカレンダーシステムがあると便利だ。

 フレキシブルワークを実践する従業員から、彼らを監督する人、それ以外の従業員に至るまで、すべての人がこれらの基準に関する研修を受けるようにしなければならない。教育と研修は、従業員がフレキシブルワークを実践することで不利な立場に置かれたり、献身的でないと見られたりする「フレックス・スティグマ」を回避するのに役立つ。企業は研修を設けることで、フレキシブルワークを支援するシステムや体制を維持することができる。

 ●誤解2:文化の喪失

 すべての従業員と毎日顔を合わせたり、毎日ランチを一緒に食べたりすることはできないかもしれないが、フレキシブルワークによって文化が損なわれることはない。しかし、チームが定期的に対面やビデオ会議で顔を合わせることが不可欠だ。

 ダイバーシティ・アンド・フレキシビリティ・アライアンスでは、企業はまずそれぞれの組織にとっての文化とは何かを定義したうえで、ハイブリッドやバーチャルな環境でその文化をどう維持するかを決定することを推奨している。

 筆者らが協力した多くの企業は、パンデミック下にリモートワークを数カ月間実施する中で、文化を維持するための創造的な方法を見つけている。ダイバーシティ・アンド・フレキシビリティ・アライアンスの多くのメンバーは、コミュニティを維持するために、バーチャルなエクササイズ教室、料理教室、ハッピーアワー、チーム育成活動といったソーシャルイベントを催した。

 さらに、全員が出社する日を活用して、人間関係を構築したり、イベントに参加したり、同僚と1対1の時間を過ごすようにすることも重要だ。

 ●誤解3:コラボレーションの喪失

 フレキシブルワークを採用しているチームが、定期的な会議と継続的なコミュニケーションを心がけている限り、コラボレーションが損なわれることはない。チームメンバー全員が(たとえオンラインでも)連絡を取り合い、すべてのプロジェクトを把握し、メールや電話に対応することが重要だ。

 リモートチームが個人的なやり取りや関係を維持するために、時には直接顔を合わせることを、筆者らは勧めている。また、コラボレーションを実現するためには、リモートワークの従業員に対し、オフィスで働く従業員よりも高い基準を課してはいけない。

 テクノロジーを活用してコラボレーションを強化することも必要だ。たとえば、チームを集めてブレインストーミングを行う際、バーチャルなブレイクアウトルームを利用することで、小規模なグループでのコラボレーションを促進し、すべての人の意見を聞くことができる。予定外のフィードバックや非公式なコラボレーションのために、定期的にバーチャルオフィスアワーを設けている組織のリーダーもいる。