●内なる批評家に名前をつける

 擬人化によって、自己批判と心理的距離を取ろう。たとえば、映画や本に出てくるばかげたキャラクターの名前をつける。筆者の場合は「ボゾ」と呼んでいるが、「リトルモンスター」や「グレムリン」といった名前はいかがだろう。

 筆者のかつてのクライアントには、『スターウォーズ』で有名な「ダースベイダー」と呼んでいる人もいた。彼は、自分で買ったダースベイダーの小さなアクションフィギュアをデスクに置き、それを見ては自己批判の声を抑えるようにしていた。

 内なる批評家に名前をつけることは「認知的デフュージョン」、つまり自分自身と自分の思考を切り離すプロセスだ。この認知的デフュージョンには、不快感や思い込み、ネガティブな思考によるストレスを軽減する効果があることが示されている。また、精神安定、感情マネジメント、変化する要求に対する認知・受容・適応に関する能力である、心理的柔軟性を促進するという。

 ●一般化を避ける

 筆者がベンから全社会議の詳細を聞き出すと、彼の動揺には誰も気づいていなかったことが明らかになった。事実、会議終了後にCOO(最高執行責任者)から「あなたの発言が、会話の中で唯一霧が晴れた瞬間だと思った」と言われたという。

 ベンは、自分の印象とは異なるその言葉に衝撃を受けた。これはスポットライト効果、すなわち他者が自分の行動にどれほど注意を向けているかについて判断を誤り、過大に見積もる傾向の好例である。

 スポットライト効果に打ち勝つには、特定のネガティブな出来事に焦点を合わせるのではなく、自分のパフォーマンスを総体としてとらえることが重要だ。ベルカーブ(正規分布曲線)を思い浮かべてほしい。ほとんどの日のパフォーマンスは、平均かそれ以上だろう。なかには平均を下回る日もあるが、それが正常だ。視野を広く持ち、全体に目を配ろう。

 全社会議では思うようなパフォーマンスができなかったベンだが、この好ましくない会議1つを取って、それを継続的パターンとして一般化することが、彼自身をさらに身動きの取れない状態に追いやっていることに気づいた。

 筆者は彼に対して、特に「自分はいつも失敗する」「この先もずっと、自分の意見を聞いてもらえることはない」、あるいは「毎回、同じことが起こる」といった極端な発言をしないようにコーチングを行った。

 ●「~したらどうしよう」を裏返す

 人間の脳は、意味を見出し、疑問に答えるようにできている。繊細な脳はとりわけ、つながりを築き、不測の事態を予測することに長けている。研究によれば、繊細な人は、注意や行動計画、意思決定に関連する分野の脳回路や神経化学物質がそうでない人より活発で、強い内的体験を持つ。

 このことはつまり、繊細な努力家タイプは、自分の考えをより正確に方向づける能力を持っているということだ。脳の力をより有効に活用するには、建設的な質問を数多くすることが欠かせない。具体的には、失敗する可能性のあることと同じだけ、成功する可能性のあることを考える。

 たとえば、次のように考えるのだ。

・経営陣が私のプレゼンテーションを気に入ったらどうしよう。
・このアイデアが馬鹿げているどころか、プロジェクトを前進させるブレークスルーだったらどうしよう。
・この提案がチームの働き方に革命をもたらしたらどうしよう。