研究によれば、人が話に耳を傾けるかどうかに影響を与えるメッセンジャーの特質は8つある。それは、メッセンジャーの社会経済的地位、コンピテンス、優位性、魅力、温かみ、脆弱性、信用性、そしてカリスマ性だ。また、こうした資質のどれが大きな影響力を持つかは、メッセージの文脈や状況によって異なる。

 これらの知見を武器に、ジャージー政府は新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について、一貫性のある同一のメッセージを、さまざまなメッセンジャーを通じて伝えるキャンペーンを考案した。

 メッセンジャーには、それぞれのターゲットグループと年齢や立場が似ていて、信用があり、よく知られている人物を選んだ。

 たとえば、ワクチン接種を推奨するには、豊富な知識を持つ専門家や有名人よりも、当初は懐疑的だったが考えを変えてワクチン接種を受けることにした老人ホームの職員の言葉のほうが、説得力があることがわかった。

 老人ホームの職員にワクチン接種を受けさせるうえでは、個人的心情に訴えるよう設計されたメッセンジャーを使ったことがとりわけ効果を発揮し、他の職種では80%前後だったのに対して、93%というワクチン接種率を達成した。

 ここから明確な教訓を得ることができる。それはワクチン接種プログラムだけでなく、相手のエンゲージメントを得ることが欠かせない、あらゆるイニシアチブに共通する。すなわち、オーディエンスが「自分の仲間だ」と感じられるメッセンジャーを揃えて、メッセージが個人的心情に響くようにするのだ。

 たとえば、あなたの組織の誰かが、あるトピックについて最も多くの知識を持っているからといって(たとえば、新型コロナウイルス感染症を研究する博士)、そのトピックに関する情報を伝える時に最も説得力のあるメッセンジャーになるとは限らない。

 これと同じことが、もっと規模の小さな状況でもいえる。あなたのチームが投資家にプレゼンテーションを行う時、あるいはステークホルダーに戦略的方向性を説明する時、「何を話すか」だけを考えていてはいけない。「誰が話すか」も慎重に考慮する必要がある。