(7)力のある進行役を任命する

 ハイブリッド会議を運営するのは、全員が集まる対面での会議あるいは全員がズームで参加する会議を運営するより難しい。スタッフでも外部メンバーでも、参加者の誰かでも構わないので、会話の進むべき方向を示し、脇道に逸れないようにする進行役を任命しなくてはならない。

 会議の設計やロジスティックスにどれだけ力を注いだとしても、会議室にいる参加者は、簡単に会話の流れを支配できる。進行役がリモート参加者を引き込み、会議に集中できるように注意を払うことで、発言をさえぎられたり、同時に話し出して機会を逃したりして、リモート参加者が意見を言えなくなる状況は防がなくてはならない。

 時には、進行役が会議室の参加者とリモート参加者の両方に呼びかけ、全員が確実に発言できるようにする必要がある。

(8)リモート参加者の「アバター」を会議室に置く

 リモート参加者が、会議室内に物理的に存在することが求められる場合もあるだろう。理由は、カメラの視界が確保できないという単純なことかもしれない。マイクが機能していないのかもしれないし、参加者に大きな声で話すよう促す必要があるからかもしれない。

 あるいは会議室の壁に貼られた図表に付箋を貼る必要があるかもしれないし、リソース配分のエクササイズの一環として、テーブルの上にポーカーのチップを置く必要があるのかもしれない。

 このような状況に備えて、筆者らが「会議室内アバター」と呼ぶ人物をリモート参加者一人ひとりに用意しておくとよい。リモート参加者の代わりに、必要に応じて会議室で物理的に動くスタッフ、あるいは会議参加者である。

 テキストメッセージやチャットアプリ、あるいは電話でも何でもよいので、リモート参加者とアバターは会議を通じて、2人だけのコミュニケーションラインを確保しておく。リモート参加者は誰か1人と内々につながっているだけで、孤独感や会議室の参加者との距離感がかなり低減されると、筆者らに語ってくれた。

 たとえば、会場のフレッドが話すたびに、「フレッド、もっと大きな声で話してください。聞こえません」と言わなければならないのは、リモート参加者にとって決まりが悪い。誰か別の人が休憩時間中にそっと近づいて、「フレッド、もう少し大きな声で話してもらえると助かる。チューリヒにいるナターシャが聞きづらくて」と、本人に直接促してもらうほうがはるかによい。

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 パンデミックが緩和し、直接会って集まる機会が復活するにつれて、ハイブリッド会議は組織の機能として欠かせない手段になろうとしている。

 ハイブリッド形式の会議は、より複雑さを増す。しかし同時に、パンデミックに押されるようにして始まったバーチャル会議を1年間経験した後では、たとえ物理的にその場にいられない時でも、リモートで参加することが求められるようにもなった。

 幸いなことに、テクノロジーとツールを活用し、細部まで考慮した会議を設計し、力のある進行役を設置することで、会議室でも海の向こうからでも、参加者全員が集中でき、それぞれの意見が尊重され、同等の立場にあると実感できるようなハイブリッド会議を運営することは可能である。


"What It Takes to Run a Great Hybrid Meeting," HBR.org, June 03, 2021.