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ミドルマネジャー(中間管理職)は、コロナ禍で大きな困難に直面した。在宅勤務やリモートワークが進んだことで、部下の仕事ぶりを監視し、彼らのパフォーマンスを最適化するという従来の役割が失われ、既存のマネジメント手法が通用しなくなったからだ。これからのミドルマネジャーには、上と下の情報伝達を円滑化するルーターではなく、本来のリーダーとしての役割が求められている。


 リモートワークへの移行はすべての人に影響を及ぼしたが、ミドルマネジャー(中間管理職)はこの1年、特に困難な状況に直面した。

 リモートワークの知識労働者3000人以上を対象としたグローバル調査によると、ミドルマネージャー(1~6人を管理する人)は、シニアエグゼクティブ(15人以上を管理する人)に比べて仕事の満足度が46%低く、帰属意識の維持に関して2倍以上苦労し、目上の同僚に比べてストレスが多く、生産性が低いと感じていることがわかった。

 これらの一部は、パンデミックに伴う膨大なストレスに対する一時的な反応であることは間違いない。しかし、ミドルマネジャーのストレスレベルの上昇と仕事の満足度の低下をもたらす要因のいくつかは、今後も継続する可能性があることを調査は示唆している。

 具体的には、組織が労働力の分散を長期的に進めるにつれ、生産性を監視し、個人のパフォーマンスを最適化するという従来のミドルマネジャーの役割は、下記の主要な3つの点からますます不要になっている。

(1)従来の「9時~5時」モデルは時代遅れになりつつある

 従来の「9時~5時」の対面による勤務モデルでは、マネジャーは文字通りオフィスを歩き回り、従業員の様子を確認することで、チームを監視することができた。

 しかし、今回のパンデミックにより、柔軟で非同期的な勤務スケジュールが、ワークライフバランスの向上、ストレスレベルの低下、生産性の向上につながることが実証されたため、多くの企業が「9時~5時」モデルから恒久的にシフトしている。

 この新しい現実の中で、マネジャーは人材を育成し、チームのつながりを強化するという重要な役割を果たさなければならないが、昔ながらの「歩き回るマネジメント」のアプローチは、もはや有効ではない。

 マネジャーは同期的で対面のコミュニケーションに頼らない、チームの業務規範やワークフローを意図的に設計するという任務を負っている。だが、多くの組織ではそれをサポートする準備が整っていないのだ。

(2)デジタルインフラが物理的なオフィスに取って代わる

 従来のミドルマネジャーの役割の大半は、従業員が効果的な情報共有に苦労しないよう、コミュニケーションとコラボレーションを支援することだ。

 しかし、そのコミュニケーションが会議室からデジタルチャネルに移行すると、重要な情報や意思決定の文書化・共有を自動化することが非常に容易になる。これにより透明性は飛躍的に向上する一方で、ミドルマネジャーが担っていた情報共有に関わる多くのメカニズムの必要性と有効性がなくなる。

(3)アウトプットの測定は容易になったが、共通のパーパスの構築が困難になった

 従業員が分散している中でチームをまとめること、すなわち強い社会的つながりを構築・維持し、単一のミッションやビジョンのもとに連携を図ることは、これまで以上に困難になっている。明確なコミュニケーションを取り、リモートでチームをまとめる能力が重要になった。

 同時に、デジタルツールへの移行により、アウトプットを追跡・測定するプロセスが劇的に簡素化された。こうした相互に関係した変化が意味するのは、従来のマネジメント手法である「指揮統制」が不要になり、多くの場合は逆効果になるということだ。