自らがネットワークそのものであることの強み

――ベライゾンはネットワークだけでなく、セキュリティサービスもグローバルに提供していますが、それを利用すれば拠点ごとに異なるセキュリティ対策を一元化することも可能となりそうですね。

山崎 そのとおりです。ベライゾンはグローバル企業に「海外と陸続き」になるネットワークとセキュリティサービスを提供することを目指しており、お客様は世界中のどこにいても、同質かつ良質のサービスを受けることができます。しかもコンサルティングから実装、運用に至るまで、トータルな支援をグローバルに提供できることも強みの一つです。

 ほかにもベライゾンの強みはいくつもありますが、なかでもコアコンピタンスと言えるのは、ご指摘のとおり、ネットワークとセキュリティという2つのサービスを提供している点でしょう。自らが通信インフラを持っているからこそ、インフラを持たない他のSIerや機器ベンダーとは比べものにならないほど安全で、柔軟なセキュリティサービスが提供できるのです。

 たとえば、DXを進めると5Gやクラウドサービスなどの利用が増えるため、その分、外部とのインターネットアクセスの監視も増やさなければなりません。それでは大変だからとインターネットアクセスを集約しようとすると、今度は帯域の問題が生じ、サービスの可用性が下がってしまうというジレンマに陥りやすくなってしまいます。

 その点、ベライゾンは自らがネットワークを持っているため、構成を最適化することによって、セキュリティの3要素である機密性(Confidentiality)、完全性(Integrity)、可用性(Availability)のバランスを保ち、きわめて安全で、なおかつ存分に使いこなせるネットワーク環境が提供できるわけです。結局のところ、必要なパートナーとは、ネットワークに詳しいだけでなく、ネットワークそのものでなければなりません。

ノキアとの提携で
プライベート5Gプラットフォームを提供

――ベライゾンと言えば、やはり世界をリードする5G関連ソリューションの動向が気になります。具体的な事例について聞かせてください。

山崎 先行するアメリカでは、いくつかの実証実験が始まっています。2021年4月にはホンダのアメリカ部門が、ベライゾンが提供する5G Ultra Widebandとモバイルエッジコンピューティング(MEC)技術を活用した、自動運転の実証実験を開始しました。

 ホンダとベライゾンが、ミシガン大学にある自動運転の実験施設である「Mcity」において、道路インフラと自動車・歩行者間のコミュニケーションを高速・大容量・低遅延を可能とする5G/MECで行うことで、ドライバーが検知する前に車両側で事故などのリスクの検知が可能となり、衝突を回避し交通の流れを改善する、というものです。すでに実験はかなり進んでおり、2021年中には少なくともアメリカ4都市で5G対応車両による公道実験を実施する予定です。

 このほか、アメリカではAWS(アマゾン ウェブ サービス)との協業により、ベライゾンの5GサービスとAWSのエッジコンピューティングプラットフォームであるAWS Wavelengthを組み合わせた環境を2020年8月より提供。加えて、2021年1月には、ベライゾンとノキア、マイクロソフトの3社協業によりプライベート5G/MECの展開を開始しており、すでにWeWork向けに提供しています。

――日本向けの5G関連サービスも始まっているのでしょうか

山崎 2020年10月にノキアと提携し、日本を含むアジア太平洋地域と欧州のエンタープライズ顧客向けに、プライベート5Gプラットフォームの提供を開始しました。いまのところアメリカが先行していますが、今後、日本でも導入が広がるものと見込んでいます。

 ホンダのように、日本のグローバル企業が、まずアメリカで取り組む事例も増えていますので、その波が日本にも押し寄せ、さらに世界にも広がるのではないかと期待しています。

――5Gに限らず、DXの推進とともにネットワークそのものの進化が求められているのではないかと思います。今後、どのような進化を目指していくのでしょうか。

山崎 今回のコロナ禍によって、市場環境やトレンドの変化はますます激しくなり、変化に応えてビジネスモデルやサービス内容をアジャイルに変えていくという企業の取り組みは、ますます重要になってきています。ネットワークも、そうした変化に柔軟に対応できるものでなければなりません。新しいサービスを投入したい時に、自由に通信量を拡張できるスケーラビリティや、ユーザーからのアクセスが急増しても、レスポンスよく対応できる高いパフォーマンスが求められるようになっているのです。

 そうしたニーズに対応して、ベライゾンは2015年にマネージドSD WANサービスを、2016年からはネットワーク仮想化技術(NFV)を活用したマネージドサービスを提供してきました。これらをさらに進化させたソリューションとして、2021年4月にNaaS(ネットワーク・アズ・ア・サービス)の提供を開始しています。

 従来の企業向けネットワークには、帯域の固定化や、手動による設定、多額の初期投資を要するといった制約がありました。NaaSでは、これらの制約を取り払い、帯域はフレキシブルに設定可能、設定作業が自動化されるだけでなく、サービスモデルでの課金体系となり多額の初期投資からも解放されます。

 その結果、より柔軟でアジャイルなネットワークへと進化させていくことで、お客様のビジネスモデルやサービスの変革を支援することができるようになるわけです。