Illustration by Verónica Grech

自宅で仕事をしていると、上司や同僚がいま何を考えているのかがわからない。すると、メールに対する返信がなかなか来なかったり、会議に出席しなくてもいいと言われたりしただけで、それが自分に対する否定的な評価ではないかと思い込んでしまう。物事を人一倍掘り下げて処理し、優れた成果を上げる「繊細な努力家」ほど、そのように考えやすい。本稿では、こうしたパラノイアに陥るのを防ぐ4つの方法を紹介する。


 マルティナはデスクのそばを歩き回っていた。爪を噛み、頭の中は不安でいっぱいだ。「上層部にメールを送ってから3時間が経つのに、誰からも返信がない。私の戦略提案は失敗だと思っているに違いない。彼らはきっとメッセージをやり取りして、私のことを笑いものにしている」

 心の内で動揺していたが、マルティナには自分の懸念を裏付けるものはほぼなかった。彼女は、華々しい勤務評価を何度も得て、部門のバイスプレジデントに昇進したばかりだった。

 それにもかかわらず、マルティナはパラノイアに取りつかれていた。パラノイアとは、曖昧な状況を誤って解釈し、否定的な意味や潜在的な脅威と捉えて恐怖を感じる状態だ。パラノイアになれば、自分や他人の行動を見境なく詮索し、具体的な根拠のない非難や拒絶を過剰に警戒する。

 パラノイアに陥ると、人からメールやメッセージの返事がないのは自分の仕事が十分でないからだと思い込む。同僚がプロジェクトに加えられると、チームワークを歓迎するのではなく、仕事を奪われると思うこともある。また、上司から会議に出席しなくていいと言われると、時間を無駄にしないよう気遣ってくれているのではなく、自分を信頼していないからだと思う。

 パンデミックの前から、リモートで仕事をしている従業員は疎外感を抱き、サポートを受けていないと感じると報告する傾向が高かった。いまは孤立感が増し、仕事量が増え、かつてないほどのストレスを抱えているため、パラノイアが生じ続けるも不思議ではない。

 それが特に当てはまるのは、自分が「繊細な努力家」(sensitive striver)、つまり物事を人一倍掘り下げて処理し、優れた成果を上げる人物であることを自覚している人だ。ストレスがかかると、本来の鋭敏さが、考えすぎや自己不信に変わってしまうことがある。

 ボディランゲージや顔の表情、リモートでのフィードバックのニュアンスなどを解釈するのは特に難しい。また、ホームオフィスで一人で過ごしていると、頭の中であれこれ考え、そのループにはまってしまう。オフィスにいれば周囲の反応から安心感や同意が得られるが、それがないとネガティブな感情が広がりやすい。

 リモートワークには困難が伴うが、パラノイアを脱して自分の力を取り戻すことは十分可能だ。疑心暗鬼に陥るのをやめ、成果を出すという本来成すべきことに立ち返る方法を紹介したい。