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組織変革を成功に導くための知識や情報はあふれているのに、なぜほとんどの企業で変革が成功しないのか。その理由は何十年経っても変わらない。すなわち、変革に必要な仕事の量を過少に見積もり、組織能力を過大評価して、従業員が目的意識を持てていないからだ。本稿では、リーダー自身が組織変革の障壁になることを防ぐために、それぞれの解決法を示す。


 中規模の金融サービス会社でチーフ・トランスフォメーション・オフィサー(CTO)を務める人物から、電話が入った。商品中心からサービス中心の組織に変貌を遂げようと、全社一丸となって2年近く取り組んだものの、壊滅的な状態になっているというのだ。

「我々は変革が頓挫しないように、必要なことすべてをやってきた」と彼は語った。「絶え間なくコミュニケーションを交わし、皆のやる気を鼓舞しようとバーチャルのタウンホールミーティングを何度も行い、変革のビジョンを実現するための10を越すイニシアティブにリソースを投入した。にもかかわらず、回し車の上で走り続けるハムスターにしかなれなかった。目に見えた進歩はなく、社員は無意味としか思えない活動の沼にはまり、シニシズム(冷笑主義)に陥っている。そもそもなぜこの道を進むことにしたのか、そのビジョンもとうに見失ってしまった」

 そこで、このCTOとともに詳細な分析を行ったところ、頓挫の原因が明らかになった。それは過去何十年もの間、その目指すところがどれほど崇高だろうとおかまいなしに、変革の努力が陥ってきた罠だった。リーダーはしばしば、変革に必要な仕事の量を過少に見積もり、その変革を実行する組織能力を過大に見積もり、変革に寄せる組織の思いを誤って判断するのである。

 持続的で前向きな組織変革を実行する方法に関して、リーダーは膨大な知識を手に入れることができる。にもかかわらず、失敗する確率が高いものの、なじみのある手段に頼り続ける経営幹部があまりに多い。そのため、よく指摘される通り、組織変革の失敗率はいまなお70%前後と高止まりしている。

 これから大きな組織変革を行う計画がある場合(あるいは組織変革が頓挫しかけている場合)、組織変革を失敗させる3大要因を避ける方法(あるいは陥った罠から抜け出す方法)をここに挙げる。