(4)いつものアプローチや防御法に頼る

 人はストレスを感じると、多少頑なになる傾向がある。他の選択肢を検討する認知的・感情的な幅が狭まるため、状況に応じて行動する柔軟性が低下し、いつものやり方で物事を処理するようになる。

 私たちは誰しも、自分なりの価値観を持っているものだが、それが常に自分に有利に働いているわけではない。たとえば、思慮深さは考えすぎに変わり、自己依存はマイクロマネジメントや何でも自分でやろうとする姿勢に転じる。基準の高さは選り好みや完璧主義につながり、機知に富んでいることで不必要に複雑で型破りな方法で物事に対処しかねない。

 余裕のない時には、自分の価値観を状況に合わせるようにする。そのタスクや問題に 「○○」(思慮深さや自己依存など、自分のいつもの価値観を挿入)は必要か。あるいは、この状況には別のアプローチのほうが適しているか。

(5)自分を支えてくれる人たちと距離を置く

 精神的に追い込まれている人は、おそらく心のエネルギーが枯渇しているはずだ。その場合、行動や情緒応答性に大きな変化が生じる可能性がある。

 それは些細なことかもしれない。たとえば、いつもは子どもが自分のところに来ると、しばらくの間抱きしめてあげる人が、他のことに気を取られたまま、おざなりに一瞬ぎゅっとするだけで、すぐに自分がやっていたことに戻ったりする。

 これは自己破壊的な行為である。最も必要とする時に、感情のコップを満たす機会を逸してしまう。また、あなたの大切な人がその変化に気づき、自分の注意を引こうとする行動に出る危険がある(たとえば、子どもが壁に絵を描いたり、配偶者が何でもないことで突っかかってきたりする)。

 心のエネルギーが減っている場合であっても、自分を支えてくれる人たちとのつながりを楽しむ方法を見つける。たとえば、筆者は休憩時間に5 歳の娘の横で一緒に絵を描いたり、一緒にブロックで何かの形をつくったりしている。ベッドで隣り合って、それぞれ別々の画面を見ながら過ごしたりもする。

 こうした時間を見つけるのが難しいという人は、時間や曜日を決めてルーチンにするとよいだろう。たとえば、土曜日の朝は必ず子どもとパンを焼くというようにする。

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 本稿で概説した5つのパターンを認識することで、多忙で困難な時期を、自分自身も周囲の人々も、もっと楽に乗り切れるようになる。こうしたパターンに陥るのは理解できることであり、自己批判的になる理由にはならない。どのような罠があるかを知り、簡単かつ小さな変化を起こして、克服してほしい。


"5 Mistakes We Make When We're Overwhelmed," HBR.org, April 27, 2021.