父親の育児参加が増えると
母親の有給労働が増える

 パンデミックが母親の雇用に及ぼすネガティブな影響を軽減するために、父親がみずからの家事貢献度を高めるよう、多くの専門家が呼びかけている。

『ジェンダー・ワーク・アンド・オーガニゼーション』誌に掲載された筆者らの新しい研究では、パンデミック初期に父親が育児により多く関わった家庭では、母親の雇用に対するネガティブな影響がはるかに少ないことが確認された。パンデミックの終息まで、そしてそれ以降も、父親が育児に費やす時間を増やすことで母親の負担を軽減し、母親のキャリアを守ることができる。

 2020年4月の労働市場には、幼い子どもを持つ親がパンデミック前に家庭でどう育児を分担していたかが色濃く反映された。

 同月下旬、異性のパートナーを持つ親989人を対象に筆者らが実施した調査では、パンデミック前に幼い子どもの世話をほぼすべて(80~100%)行っていた母親のうち、2人に1人(50%)が自発的に仕事を辞めるか、有給労働時間を減らしていることが明らかになった。

 父親の育児分担が増えると、母親の雇用がネガティブな影響を受ける可能性は大幅に減少していた。パンデミック前に育児を平等に分担(父親が40~60%を担当)していた場合、母親が自発的に仕事を辞めるか労働時間を減らす割合は15%にまで減少し、父親(11%)と同程度という結果が得られた。

 幼い子どもを持つ母親が、パンデミック初期に減らした労働時間は平均週3時間強だった。父親の育児分担が20%増加するごとに、母親の有給労働時間は週3時間増えていた。

 筆者らが以前報告した通り、米国ではパンデミック初期に父親の育児分担が増え、母親が育児の大半を担うという従来の形態から脱却したカップルが相当数存在した。

 パートナーと平等に育児をしている女性は労働参加を減らす傾向が低いことを考えると、パンデミック初期に父親が家事貢献度を高める努力をしたことで、母親の仕事がある程度守られた可能性がある(多くの母親が仕事を辞めたり失ったりしたことは、考えさせられる)。

 にもかかわらず、父親の家事貢献度の増加は驚くほど控えめで、母親たちの回答によれば、平等な家事分担の増加は10%未満だった。つまり、もっと多くの男性が分担を増やし、パートナーの負担を軽減できるということだ。