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新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響は、働く母親を直撃した。保育の選択肢や対面式の学校教育がなくなったことで、ワークライフのバランスが取れず、労働時間を減らしたり、辞職せざるを得なかったりしたケースも少なくない。その一方で、パンデミック初期に父親が育児や家事に費やす時間を増やし、母親の雇用を維持できた例もある。本稿では、筆者らがパンデミック下で実施した調査の結果から、従来的な役割分担からの脱却が母親のキャリアを守る道筋を示し、さらにポストコロナに向けて、ワークライフに関する政策や制度を拡充させる必要性を論じる。


 新型コロナウイルス感染症のワクチンの登場は、パンデミックの終わりの始まりと言える。だが、ウイルス感染のリスクが収まり、社会が表面上ある程度、正常に戻るまでには何カ月も要するだろう。終わりは見えてきているが、米国人はいろいろな意味で振り出しに戻ることになる。

 パンデミックは誰にとっても厳しいものだが、ケアギバーの人々にとってはなおのことだ。

 保育の選択肢や対面式の学校教育がなくなったことに加え、有給休暇や柔軟な働き方を提供する適切な政策や制度がなかったため、ケアの危機と、かつて経験したことのないワークファミリーコンフリクト(仕事と家庭の対立)が生じた。これらのケアサポートが失われたことは、特に母親たちのキャリアに影響を与えている。

 2020年3月時点の16歳以上の失業率は、男女ともに4.4%だった。しかし、4月に入って学校や保育所が閉鎖されると、男性は13.6%、女性は16.1%に上昇した。在宅勤務が可能な仕事に就いている異性同士のカップルのうち、特に12歳以下の子どもを持つ母親の有給労働時間が大幅に減少したという調査結果もある。

 同年夏には男女の雇用格差は解消されたが、9月には20歳以上の女性、特に30代と40代の女性の失業率が大幅に上昇した。これは、子どもの学校で新年度が始まったことが原因と考えられる。