『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)では毎月、さまざまな特集を実施しています。本稿では、最新号の特集テーマ「バーンアウトの処方箋」への理解をさらに深めていただけるよう、関連する過去の論文をご紹介します。

 DHBR2021年7月号の特集は「バーンアウトの処方箋」。コロナ禍の長期化に伴い、バーンアウト(燃え尽き症候群)の問題が深刻化している。熱意や使命感を持って仕事に取り組む人が陥りやすく、企業がこの問題を放置すれば大きな痛手となる。従業員のバーンアウトを未然に防ぐために、あるいは燃え尽きから回復させるために、組織に何ができるのか。

 スポーツ選手の引退会見で見られるように、「燃え尽きた」という言葉は「何かを達成した後の清々しさ」の表現として使われることも多い。しかし、社会で問題になっているバーンアウトは、清々しさとは正反対の、むしろ「燃えたかったのに燃えられなかった」不完全燃焼の意味に近く、喪失感や抑鬱感をもたらす。

 同志社大学の久保真人教授による「バーンアウト:使命感の喪失が引き起こす『病』」では、長年にわたりバーンアウト研究に取り組む筆者が、バーンアウトを特徴付ける3つの症状や発生リスクについて解説する。そのうえで、防ぐための方法として筆者が注目する「突き放した関心」を取り上げる。

 仕事におけるバーンアウトは近年深刻化していたが、コロナ禍の長期化により、状況はさらに過酷になっている。「職場で従業員のバーンアウトに対処する方法」では、46カ国1500人超の調査をもとに、問題の深刻度を徹底的に分析し、組織で即座に実行すべき対処策を提示する。

「新型コロナ危機が従業員のウェルビーイングに与えた影響」は、コロナ禍のバーンアウトに関する調査から、重要事項をまとめたものだ。回答者たちは、メンタルヘルスの問題に加え、基本的欲求が満たされていないこと、そして孤独感や孤立感を訴えた。一方で、ウェルビーイング向上の報告もあり、その理由に着目すれば、組織が従業員を支援するための方法が特定できるかもしれない。

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、バーンアウトに該当する症状や、職場の機能不全が深刻化した。世界のビジネスパーソンの心身には、いったいどんな変化があったのか。リーダーはダメージを負った従業員を回復させるため、どのように関与すべきか。「リーダーは部下の燃え尽きを防ぐために何をすべきか」では、30年にわたってバーンアウトを研究してきた第一人者に聞いた。

 バーンアウトは個人の問題であると同時に組織の問題でもあり、通常の時期ですら防ぐことは難しい。ましてや、新型コロナウイルス感染症のパンデミック期に、どうすれば最前線に立つスタッフたちを極度の疲労や生産性の低下から守れるだろうか。

 極限状態の中でもできる行動はあり、また、病院や業界によって違いがあるように見えても、基本原則は同じである。「ボストン最大の病院はバーンアウトの危機をどう乗り越えたか」では、マサチューセッツ総合病院の対策に学ぶ。

 2011年にベンチャー投資プラットフォームのサークルアップを創業したライアン・キャルドベックは、バーンアウトなど縁がない、と思い込んでいた。しかし順調だった事業に影が差し、プライベートや健康上の問題も出てくると、落ち込む時間が増え、頭痛にも悩まされるようになった。

 キャルドベックは自分の変調に向き合い、CEO職を辞することにした。「安心して助けを求められる組織をつくる」では、このバーンアウトの経験から、組織としてメンタルヘルスに取り組むうえでの6つの論点を紹介している。

「日本一熱い男」と称される松岡修造氏は、常に明るく前向きで、いかなる困難も正面から乗り越えてきたというイメージを持たれているが、実際は消極的で、物事をネガティブにとらえやすい人間だという。そんな自分を変えるために、現役時代からメンタルコントロールの理論を実践することで、ネガティブ思考をポジティブ思考に転換してきた。

「自分の存在価値は自分自身で決めるもの」では、日本を代表するテニスプレーヤーとして数々の偉業を成し遂げ、現在はジュニアのトップ選手の指導者として活躍する松岡氏に、自分を見失ってバーンアウトに陥らないために何が必要かを聞いた。