●企業やリーダー

 危機の時こそ、リーダーシップの真価が問われる。大きなプレッシャーの下で力を発揮するのが優れたリーダーであり、能力のないリーダーは逃げも隠れもできない。

 コロナ禍によって、いままで知らなかった上司や経営幹部の新たな一面を知ったという人は多い。従業員に敬意を払い、公平に扱ったか。不確実性をどう乗り越えたか。短期と長期のどちらを優先したか。

 このように新たな情報を得た従業員がコロナ禍の収束を実感すれば、この1年間留保していたかもしれない離職の動きが加速される可能性がある(ある研究では、ハイブリッド型勤務が選択できなければ、従業員の半数近くが会社を辞めると予測している)。

 企業がバーチャル勤務にますます寛容になることを踏まえると、通勤距離の制約がなくなることによって、従業員の選択肢も増す。地理的条件にとらわれず、これまで以上に自分の価値観を共有できる企業を見つけ、そこで働く可能性も高まるだろう。

 ●仕事上のネットワーク

 この1年は、自分が誰を頼りにしているか教えてくれる1年でもあった。個人的な問題に直面した時、大事な締め切りを前に困難を抱えていた時、どの同僚が手助けしてくれたか。誰がつながりを保とうと努力し、誰が純粋な取引関係に戻り、必要な時にならないと連絡してこなかったか。

 少しずつではあるが、私たちが対面での仕事や出張に復帰する中で、人間関係もまた変化する可能性が高い。自分の人生において付き合いを深めたい相手と、思っていたより自分のことを心配してくれない、あるいは信頼できないことが明らかになったことで付き合いを控えたい相手とがはっきりしてくるだろう。

 加えて、新しい人に出会うことが非常に難しく、孤独な1年を経て、新たなつながりを渇望している人は多いはずだ。少しずつではあっても、再び気兼ねなく集まれるようになるにつれ、バーチャルでも対面でも(安全で可能な場合)、ネットワーキングイベントを企画することに力を注げば、その労力を補って余りある「先行者利益」を得られる可能性がある。

 たとえば、大きく多様なネットワークを持つ「コネクター」としての評判や、ほかではなかなかお近づきになれない著名人や興味深い人物との接点が得られるかもしれない。単純に言って、そうした人々も、当面はほかから声がかかることが少ないからだ。いまは、人間関係にとっても「境界的」な瞬間であり、信頼できる同僚との絆を深め、ネットワーク全体を一気に拡大する、またとない機会になる。

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 つまりは、危機によって柔軟性と機会が増したおかげで、はるかに多くの人々が、心から楽しめる仕事やキャリアを自分自身の手で組み立てることができる、極めて現実的な機会を得られる可能性がある。

 偉大な政治理論家、アントニオ・グラムシがかつて述べたように「危機は、まさしく、古いものが死に、新しいものが生まれることができないでいるという事実にある。この中間的空白期には、さまざまな病的現象が現れてくる」。

 この1年は多くの点で厳しく、困惑に満ちていた。だが私たちは、まだ新しい何かが生まれ、状況はよくなるという期待感に満ちている。


HBR.org原文:Reshaping Your Career in the Wake of the Pandemic, April 21, 2021.