HBR Staff

リーダーの最も重要な仕事の一つは、チームを鼓舞することだ。そのためには、どのようにコミュニケーションを取るかがカギを握る。ふだんのやり取りの中で、コミットメントを感じさせない言葉や弱い言葉を使ってしまうと、自身の影響力が低下したり、メンバーのやる気を奪ったりしかねない。本稿では、チームを鼓舞するうえで有効な3つの戦術を紹介する。


 組織やグループ、プロジェクトのリーダーとして最も重要な仕事の一つは、特定の対象とのコミュニケーションを通じて、チームを鼓舞することだ。こうしたコミュニケーションには、リアルタイムのやり取り、メール、動画、チャット、ソーシャルメディアへの投稿、プレゼンテーションなどさまざまな形があり、その機会は非常に重要である。

「短いやり取りでも、自分やリーダーについて、さらには将来について、人々の考え方を変えることができる」と、リーダーシップの専門家で元キャンベル・スープ・カンパニーCEOのダグラス・コナントは言う。

 ただし、リーダーがそうしたメッセージを発信する際は、従来の習慣がなかなか抜けない。自分でも気づかないうちに、意図したよりもコミットメントを感じさせない言葉を選ぶことも多い。弱い言葉は、リーダーの影響力や人を鼓舞する力を損なう。

 この点については、説明するより例を示すほうがわかりやすい。そこで本当に思っていることを言葉にして、より正確に、より力強く伝えるために、3つの言語的な戦術を提案したい。

戦術1:最も有益な動詞を選ぶ

 次の6組の単語は、置き換えられそうに思えるかもしれないが、そのような考え方はふさわしくない。それぞれ1つは努力を的確に表現する単語で、もう1つは表現が不適切だったり、士気を高める効果が低かったりする(こうした違いは、ソフトウエアの文法チェックや校正者は指摘しないだろう)。

可能にする(Enable) vs. 許可する(Allow):あなたの努力が結果を生んだのなら「その結果の実現を可能にした(enable)」。あなたはその結果に至る障害を取り除いただけなら「その結果になることを許可した(allow)」となる。

例:カスタマーサービスの刷新は、カスタマイズされた製品の売上げ増を可能にした(「許可した」を使用しない)。

防ぐ(Prevent) vs. 回避する(Avoid):あなたの行動が悲惨な出来事を阻止したのなら「危険を防いだ(prevent)」。何かを危険から遠ざけた、危険を先送りにしただけなら「危険を回避した(avoid)」となる。

例:私たちは人々や家族の住宅危機を防がなければならない(「回避しなければならない」を使用しない)。

行動する(Act) vs. 取り組む(Address):ある問題に影響を及ぼそうと意図的な措置を取ったのなら「問題に対して行動を起こした(act)」。状況を検討した場合は「問題に取り組んだ(address)」となる。

例:私たちはこれらのコミュニティの貧困がもたらす深刻な影響について行動を起こした(「取り組んだ」を使用しない)。

対応する(Respond) vs. 反応する(React):ある状況があなたを行動に駆り立てたのなら「問題に対応した(respond)」。あなたの感情のきっかけになったにすぎないなら「問題に反応した(react)」となる。

例:停電が発生して、私たちはすぐに対応した(「反応した」を使用しない)。

克服する(Overcome) vs. 直面する(Face):障害を見事に乗り越えたなら「障害を克服した(overcome)」。障害に遭遇した、障害が起きて足を踏ん張ったなら「障害に直面した(face)」となる。

例:私たちはシステム上の課題を克服した(「直面した」を使用しない)。

達成する(Accomplish) vs. 到達する(Meet):「目標を達成した(accomplish)」には、努力の直接の結果として成し遂げた、という意味が含まれる。「目標に到達した(meet)」は、数字として目安に達したという意味にすぎず、偶然のおかげか、状況のおかげか、あるいは自然の流れかもしれない。

例:年間の最も野心的な目標を達成できて(「到達して」を使用しない)感動している。