(6)直感を信じたい

 朝食のシリアルを選ぶ時に直感で決める分には、まったく問題ない。しかし、もっと重要な意思決定を行う時、直感に基づいて判断すると、バイアスの影響を受けたり、誤った記憶に基づいて決断を下したりしてしまう。重要な意思決定の際には、視野を広げて新しい情報とインサイトを受け入れたほうがよい。

 もしかすると、あなたは大昔に家族が乗っていた時の思い出に影響されて、スバルのアウトバックを買おうと心に決めているかもしれない。でも、なかには、運転席の座り心地が悪いと感じる人もいるだろう。試乗をせずに購入を決めれば、長時間のドライブがつらくならないとも限らない。

(7)意思決定のプロセスは直線的なものである

 よい意思決定は、循環的なプロセスを経て行われる。情報を集めて分析し、自分の考えを再検討することを繰り返すというフィードバックループが不可欠なのだ。時には、見ないようにしていた情報を改めて見直したり、新しい情報を探したり、分析し直したりしなくてはならない。

 たとえば、自動車を購入する時、まず調査を行い、それから販売店へ足を運び、価格の交渉を行うという順序で行動すれば十分だと思っているかもしれない。しかし、自動車販売店は無数にあり、販売店によって値引きの余地が異なる。いくつもの販売店を回って価格を比較するほうが、好ましい条件を引き出せるかもしれない。

(8)頭の中で自分の思考を整理できている

 大がかりな意思決定は、いくつもの小規模な意思決定によって構成されている。そうしたすべてを頭の中で把握しておこうとすると、誤った記憶に基づいて考えたり、集中力を欠いた状態で判断を下したりしかねない。感情の影響を受ける可能性もある。そうなると、思考にバイアスが入り込む。

 物事について考えたり、分析したりする際は、メモを取ることが重要だ。アルバート・アインシュタインもレオナルド・ダヴィンチも、よくメモを取ったことで知られている。私たち凡人がこの2人のように頭脳明晰になったり、高い創造性を発揮したりすることは、そもそも無理だろう。それでも、自分の考えたことや仕事についてメモを残す習慣は採り入れたほうがよい。

(9)意思決定に必要な情報はすべて手元にある

 どんどん前に進みたいと思うかもしれないが、ほんの少し時間を費やして調査を行い、エビデンスに照らして自分の考えを検討しよう。そうすれば、意思決定の質が高まり、結果に対する満足度も高まる。

 あなたの親友は、いま乗っている自動車を気に入っているかもしれない。しかし、だからといって、その車種があなたにとって最適だとは限らない。その自動車では社内が狭くて、あなたの娘のホッケー道具を収納できないとすれば、なおさらだ。『コンシューマー・レポート』誌などの権威ある情報源を調べれば、その車種が自分にとって最適かどうか、正しい情報に基づいて判断できる。

(10)自分は合理的に判断を下せる

 エイモス・トヴェルスキーとダニエル・カーネマンをはじめ、さまざまな心理学者たちが示しているように、人は自分で思っているほど合理的な思考ができない。人は誰でも、過去の経験や感情に基づくバイアスの影響を受けて、判断を曇らされている。

 あなたは、自動車販売店の販売員に言いくるめられたりはしないという自信を持っているかもしれないが、相手はセールスのプロだ。顧客の感情にうまく働きかけて、思うように動かす方法は心得ている。

(11)方法はひとつしかない

 ベッドをどのように整えるかにせよ、減量のためにどのダイエット法を実践するかにせよ、老後資金をどのように運用するかにせよ、物事のやり方は一つだけではない。

 ところが私たちは、異なる主張や新しい情報を締め出し、自分と同じ意見の人たちで構成されるソーシャルメディアの世界と、馴染みのある環境に閉じこもる傾向がある。この傾向を克服して、いつもの行動パターンの外に足を踏み出せば、違う世界が見えてくる。

 あなたは自動車を買う時、いつも自動車販売店を訪れているかもしれない。しかし、最近はウェブサイトやメール、テキストメールを使って業者を交渉する人も増えている。そのような方法にも、目を向けてみてはどうだろう。