1回やれば終わりではない:反復的なプロセス

 ある年に1回、介入措置を講じたからといって、組織文化を変えることはできない。考えてみてほしい。自社の売上げに問題がある場合、1年で解決できるとは誰も思わないだろう。あることを変えてみて、その効果を把握してから、別のことを変えてみる。そして、さらに次のことを変える。それを売上目標の達成まで続ける。

 ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂)のDEIに対する取り組みも、反復的なアプローチを取る必要がある。

 2年目の勤務評定は、この法律事務所が依然として「女性は素晴らしい」問題を抱えていることを示していた。女性は、多くの異なる項目で高い評価を得て、そこには組織にとって「貴重な存在」だという記述も含まれていたが、昇進に必要な経験につながるようには見えなかった。白人女性はいまだに、もっと経験が必要だ(51%)、昇進に値する(37%)というコメントを得る割合が、他のグループ(前者は33%、後者が22%)よりも高かった。

 非白人も、依然として「再証明」バイアスを受けていた。新しい勤務評定フォームは、従業員のコンピテンシーを2つか3つ挙げるよう評価者に求めている。非白人では、組織において重要な能力とされる有効性や効率性を挙げられた人は33%にすぎず、これに対して白人女性は80%、白人男性では63%だった。また、ミスが上の階層まで報告される割合は、非白人が78%だったのに対して、白人では43%にすぎなかった。

 この法律事務所では、オフィス家事の問題も続いていた。白人男性は、非白人や白人女性に比べて、重要性の低い事務作業について言及される割合がずっと低かった。

 どの組織でもそうだが、この法律事務所でも、DEIに関する課題を解決するには、長年続いてきたパフォーマンス・マネジメント・プラクティスを何年かかけて変える必要があるだろう。だが、1つ確実なことがある。エビデンスと指標に基づく勤務評定は、組織が毎年着実に進捗を遂げ、全員に改善の結果をもたらす助けになる。これは、持続可能な変化につながる唯一の道だ。

 多くの組織が、人種的公平を確かなものにするために、組織としての役割と責任を見直しているいま、幸いなことにデータドリブンのアプローチによって、迅速かつ具体的な改善の成果をもたらすことができる。


HBR.org原文:How One Company Worked to Root Out Bias from Performance Reviews, April 21, 2021.