2つのシンプルな変更

 これらのバイアスを克服するために、筆者らは法律事務所の勤務評定システムに2つのシンプルかつ低コストの変更を加えた。

 第1に、勤務評定フォーム自体を変更した。当初のフォームは、自由回答形式の質問で、組織がどのようなコンピテンシーを重視しているのかが明示されていなかった。また、マネジャーは評価を裏付けるエビデンスを求められていなかった。

 新しいフォームでは、ジョブカテゴリーごとに複数のコンピテンシーを列挙し、その評価を裏付けるエビデンスを、少なくとも3つ示してもらうようにした。その狙いは、ハロー効果とホーン効果を打ち破ることだ。

 白人男性は、長所が1つあると評定全体の向上につながるハロー効果を享受する。これに対して、白人男性以外のグループは、1つミスをすると評定全体の低下につながるホーン効果を被る。その結果、白人男性は不自然に、グローバル評価で優位に扱われることになる。

 第2に、新しいフォームの利用方法を全員に教える1時間のシンプルなワークショップを筆者らは開催した。ワークショップでは、監査を始めた初年度の勤務評定で実際にあったコメントを例に挙げて、「このコメントは、バイアスの4つの基本パターンのどれに該当するか。あるいはバイアスは含まれていないか」を尋ねた。

介入措置があらゆる従業員の助けになる理由

 次に、筆者ら介入措置を講じた後の勤務評定について検証を行った。2年目の勤務査定では、非白人がリーダーシップについて言及される割合が大幅に増え(100%)、建設的なフィードバックを受ける割合も、1年目の17%から49%に増えた。建設的なフィードバックは、白人女性で10%から29.5%へ、白人男性でも15%から27%に増えている。

 これは、極めて重要なポイントを示している。エビデンスベースの勤務評定システムは、あらゆる従業員の助けになるということだ。2年目に勤務評定フォームの質問が具体的になったことで、会社にとって重要な価値となるスキルと貢献を、従来よりもずっと効果的に測定できるようになった。

 介入措置は、別の重要部分でも条件を公平にした。筆者らが監査を行った1年目は、白人男性のほうが長く、複雑な内容の評価を得ていた。しかし2年目には、ワード数も内容の複雑さも、全グループで同等の勤務評価がもたらされた。また、非白人の勤務評定で正確に関してネガティブなコメントがなされることも、前年の14%から0%に減った。

 この法律事務所は「イニシアティブを取ること」をコアバリューとして掲げ、勤務評定フォームでもコンピテンシーの一つに挙げた。すると、勤務評定に自分がイニシアティブを取った時のことについてのコメントが書かれている従業員が、大幅に増加した。とりわけ非白人がそのようなコメントを受けた割合は、1年目の19%から2年目は94%に上昇した。それだけでなく、白人の場合にも上昇が見られた。

 白人男性は、裏付けがなくてもグローバルで不当に高い評価を得ることが多く、それがバイアスの温床となっていた。重視されるスキルとコンピテンシーが具体的に明記されることにより、白人男性は昇進の推薦を受ける際にも、非白人に対して不当に有利に扱われることがなくなった。