勤務評定に影響を与える
バイアスの4つのパターン

 筆者らは、数十年にわたる研究結果に基づいて、人種とジェンダーのバイアスには4つの基本パターンがあることを特定していたが、今回の勤務評定の監査でも同様の結果が見られた。

 1. 再証明

 コンピテンシーが低いというステレオタイプを抱かれているグループ(女性、非白人、障害者、高齢者、LGBT+の人、ブルーカラー出身の専門職)は、自分の能力を何度も繰り返し、証明しなくてはならない。

 このことは、白人男性の大多数はポテンシャルに基づいて評価されるのに対して、この「再証明」グループでは、実績に基づいて評価されるという形で勤務評定に表れる。また、白人男性に比べてミスが指摘されることが多く、より長期間にわたって記憶される傾向がある。

 筆者らが監査を行った1年目は、勤務評定で少なくとも一つのミスが指摘されていたのは、非白人が43%、白人女性が41%だったのに対して、白人男性は26%だった。これまでの研究では一貫して、黒人弁護士がより厳しい精査を受けることが示されているが、筆者らの研究から得られたデータセットでも結果は同様で、勤務評定で少なくとも一つのミスが指摘されていたのは、黒人男性の50%、黒人女性の50%だった。

 2. 綱渡り

 女性と非白人の場合、職場で許される行動も限定されている。白人男性は、高圧的で野心的な態度が成功のカギになるが、女性と非白人が同じような態度を取ると、攻撃的すぎる、あるいは「面倒な人」と見なされる恐れがあるのだ。

 筆者らの監査で見つかった「綱渡り」バイアスの最も明白な例は、パーソナリティに関するコメントだった。非白人と白人女性は、勤務評定でパーソナリティ(ネガティブな資質を含む)について言及される割合がはるかに高かったのだ。白人男性であれば、プラスアルファの資質にすぎないこと(同僚とうまく付き合える)が、白人女性や非白人は必須の資質と見なされているようだった。

 たとえば、勤務評定で「態度がよい」と褒められるのは、黒人男性では83%に上るが、白人男性の場合には46%にすぎなかった。「フレンドリーで親切だ」と称賛される白人女性は27%だったが、白人男性では10%だった。

「綱渡り」バイアスが表れるのは、パーソナリティに関する言及だけではない。勤務評定で「オフィス家事」、つまり価値の低い裏方仕事を引き受けていることを称賛されるのは、黒人女性の場合は50%なのに対して、白人女性は16%、白人男性では3%にすぎない。規範的ステレオタイプは、女性が控えめで、周囲を助け、いつも感じのよい態度であれというプレッシャーを与えている(「職場の母親的な存在」という表現を考えてみてほしい)。

 3. 母親の壁

 これは、女性は子どもができると仕事にコミットすることができなくなる、おそらくコミットすべきでない、コンピテンシーが低くなるという思い込みを反映したものだ(「プレグナンシーブレイン」という表現が、その例だ)。

 筆者らが最も衝撃を受けた発見の一つは、白人女性の約20%の勤務評定に、法律事務所のパートナーになることを希望していないという趣旨の内容が書かれていたことだ。おそらく、こうした女性の多くはそうしたことは言っておらず、子どもができたことで仕事へのコミットメントがなくなったと、マネジャー側が思い込んでいるにすぎないと筆者らは考えている。また、女性は男性に比べて、働きすぎだと書かれる割合も多かった。

 4. 人種的ステレオタイプ

 人種的ステレオタイプは、勤務評定であからさまに示されることがある。たとえば、「アジア系米国人は細かな作業は得意だが、リーダーシップに欠けている」といった具合だ。

 あるいは「非白人は白人男性よりも、ワークライフバランスを犠牲にして働くべきだ」というように、うっすらと表れるバイアスもある。筆者らの監査では、「意欲的に出張する」と書かれた人は、非白人で33%に上ったが、白人男性の場合は13%だった。