2012年5月号

幸福の歴史

「笑顔は幸せの象徴」は比較的新しい

ピーター N. スターンズ :ジョージ・メイソン大学 教授

ピーター N. スターンズ

ジョージ・メイソン大学 教授

幸福が訪れたり、幸せな気持ちになったりすると、程度の差こそあれ、人は笑顔になったり、陽気に振る舞ったりする──。実はこのようなステレオタイプは比較的最近のことであり、多くの場合、アメリカとアメリカの影響を強く受けた文化圏に顕著であるという。たとえば、18世紀までの西洋では、幸福の表現方法として慎み深い態度が好ましかった。なぜなら、「神は喜びや悦楽を享受することなく、いくぶん悲哀に満ちた振る舞いと禁欲に身を置く者に手を差し伸べる」と考えられていたからである。 では、幸福イコール笑顔がステレオタイプになったのはいつか。19世紀になると、一転して幸福を求める態度が一般化する。そこには、死生観や労働観との兼ね合いがあった。そして20世紀、とりわけアメリカでは1920年代以降、人々が幸福を主張する権利が確立され、メディアや広告、製品やサービスを通じて、幸福の表現方法はいまのようにステレオタイプ化されていった。しかし、あらゆる文化的現象にメリットの一方でデメリットが存在するように、幸福の文化的規範にも今後変化が起こりうる可能性がある。

ピーター N. スターンズジョージ・メイソン大学 教授

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