今後の職場が魅力的で、革新的で、創造的で、包摂的(インクルーシブ)なものになるかどうかは、職場の社会的なつながりをサポートする仕組みや方針をつくれるかどうかにかかっている。

 未来の組織、つまり人々が最も働きたいと思う組織は、その場にいる人はもちろん、いない人も含めてサポートするような社会的つながりを育む組織になるだろう。そのために、いくつかのポイントを考えていきたい。

 ●先を見据える

 リモートワークやハイブリッドな働き方では、オフィスの会話から絆が生まれることは期待できない。

 そこで、ミーティングにほかのチームや外部から人を招き、学びを広く共有することによって──さらには自分たちも同じようなサポートを提供することによって──チームが多様な視点を意識するように奨励する。集団思考(グループ・シンキング)に陥っていないかどうか、アイデアを出したチーム以外の人の意見を聞いて、頻繁に確認する。

 筆者らが現在行っている研究などが示唆するように、ハイブリッドやリモートで働く従業員は、マネジャーが定期的に1対1のミーティングを行うことによって、よりよい仕事ができる。マネジャーには、関係がなさそうに見えるグループも含めて、人と人を結びつける接着剤のような役割を担ってもらおう。

 ●ソーシャルキャピタルが発展する機会をつくる

 ワーク・トレンド・インデックスによると、多くの国で今年に入ってから、会議に費やされる時間が週当たりで2倍以上に、チャットの送信数は1人あたり40%以上になり、いずれも増え続けている。

 個人的な友人関係と同じように、ソーシャルキャピタルの構築には時間と努力が必要だ。会議に追われ、仕事量に圧倒されている人に、ネットワークを広げてアイデアを共有するために時間を使うよう求めても、効果はないだろう。

 リーダーやマネジャーは、職場の人間関係を優先する時間とエネルギーを確保するために、仕事量を減らしてリソースのバランスを取る方法を模索しなければならない。

 ●ソーシャルサポートを奨励し、報奨を与える

 ネットワークを構築したり、問題に対処したり、ストレスを解消したりする人々へのサポートは、ふつうは仕事以外のおしゃべりに織り込まれ、正式な会議以外で行われる。そのため組織の側には見えていない部分が多く、仕事に必要不可欠な負担であるにもかかわらず、そのように認識されていない。

 しかし、筆者らが現在行っている調査によると、周囲へのサポートを会社が奨励し、ボーナスや昇進で報いていると回答した人は、自分の仕事や職場により満足している傾向がある。彼らはさらに、より質の高い社会的交流があるとも回答している。

 そうした交流は、チームやビジネスが高い機能を発揮するために不可欠だ。たとえば、会社の報奨制度は、個人の業績だけでなく、ほかの人の仕事をどのようにサポートしているかについても考慮することができる。

 ●会議は意図的に、インクルーシブに、ソーシャルに

 これからの会議は、物理的なオフィスにいる人とビデオ会議を利用する人が混在することになる。マイクロソフトの従業員数百人の会議日誌にもとづく筆者らの現在進行中の調査から、綿密に計画された、焦点を合わせた会議の重要性が明らかになっている。

 出席者全員を確実に参加させるためには、モデレーターとファシリテーターに、より重要な役割が求められるかもしれない。モデレーターの仕事には、その場に物理的にいない人を代弁すること、難しい話題について全員の発言を促すこと、誰もが途切れることなく会話に組み込まれるようにすること、などが含まれる。

 会議の回数を重ね、目的が明確になるにつれて、冗談や社交的なやり取りが少なくなる場合があることもわかってきた。こうしたつながりや楽しさが減って、支え合う場面がなくなると、皮肉なことに、仕事の疲れが増す時もある。

 世界中の職場で、会議は極めて重要な役割を担っている。全員が参加していると感じることができ、社会的な絆を深める機会になるように、計画的な交流をチーム全体で心がけることが肝心だ。

 このように、優しさと楽しさを伴う協力的なコラボレーションの文化は、日々の業務と同じくらい、ビジネスの収益にとって重要である。メンバーが仲良くして、おしゃべりをしたり、ふざけ合ったりするのも仕事の一部であることを、組織は理解しなければならない。

 自然に生まれるインフォーマルな交流は、ハイブリッドやリモートワークで危険にさらされているが、注意散漫の原因でも非生産的でもない。こうしたやり取りが、生産性やイノベーションを促す従業員同士のつながりを生み、アイデアが育つ土壌となる。

分析方法

 この記事で用いた分析は2019年1月1日~2021年1月31日に、世界各国のさまざまな業界について、メール1220億件およびマイクロソフト・チームズとアウトルックのミーティングのやり取り23億件を集計したものを検証した。データを分析して報告を作成する前に、個人情報と、会社名など組織を特定する情報をすべて除外している。メール、チャット、ドキュメント、ミーティングの情報など、顧客のコンテンツはいっさい使用していない。

 今回の研究で用いたワーク・トレンド・インデックスの調査は、独立した調査会社であるエデルマン・データ・アンド・インデリジェンスが、2021年1月12日~2021年1月25日に31の市場でフルタイムの雇用者または自営業者3万1092人を対象に実施した。


HBR.org原文:What a Year of WFH Has Done to Our Relationships at Work, March 22, 2021.