マイクロソフトでは今年(2021年)に入り、2020年初頭から仕事の性質がどのように変化してきたかを理解するために、さまざまなチーム(筆者らを含む)が50以上の調査を実施している。

 毎年発表している「ワーク・トレンド・インデックス」はこの取り組みの一環で、マイクロソフトとリンクトインのユーザーベース全体について、メール、ミーティング、チャット、投稿など、生産性に関するシグナル数兆件の分析したものだ。さらに、世界31カ国の3万人以上を対象とした調査も含まれている。

 一連の調査で見えてきた最大かつ最も憂慮すべき変化の一つは、全面的なリモートワークとなった1年間が、ソーシャルキャピタルの基盤である組織のつながりに大きな影響を与えたことだ。人々は一貫して、つながっていないと感じている。

 さらに、アウトルックのメールとマイクロソフト・チームズの会議で行われた数十億件のコラボレーションの分析から(データを非特定化して分析)、明らかな傾向がわかった。すなわち、リモートワークへの移行は人々のネットワークを縮小させているのだ。

 具体的には、新型コロナウイルスのパンデミックが始まった当初は、親密なネットワークの交流が増える一方で、疎遠なネットワークの交流は減った。やがてロックダウンに突入すると、ふだんから会っている人とのつながりを重視するようになり、それ以外の関係は希薄になった。

 簡単に言えば、企業はパンデミック前よりサイロ化が進んでいる。そして、親密なネットワークの交流は現在も頻繁に行われているが、1年が経過したいま、こうした親しいチームの交流さえ減り始めている。

 マイクロソフト・チームズのチャットにも同様の傾向が見られる。2020年4月から2021年2月にかけて、チームズのチャンネル(チーム全員が参加できるもの)にチャットを投稿する人は5%減ったのに対し、少人数のグループや1対1のチャットを投稿する人は87%増えている。

 職場の人間関係が強固であることは、さまざまな理由で重要だ。ワーク・トレンド・インデックスは、そのいくつかを明らかにしている。今回の調査では、職場の強固なネットワークが利益に直結する2つの事柄、すなわち生産性とイノベーションに影響を与えることがわかった。

 生産性については、より高いと感じている人はそうではない人に比べて、職場の人間関係が強固である、いつもと変わらない日に職場で居場所を感じる、とも答えている。一方で、この1年で同僚との交流が減ったと答えた人は、戦略的思考、他者とのコラボレーションやブレインストーミング、革新的なアイデアの提案など、イノベーションにつながることであまり成果を出していなかった。

 今回の調査では、若い世代や入社して間もない従業員が、社会的な孤立の苦しみをより強く経験しているかもしれないこともわかった。

 新しく入社した従業員にとって、この1年は、通常の年はあったはずの入社時の研修や人脈づくり、トレーニングを経験せず、足がかりを築くことが難しくなっている。彼らは勤続年数の長い従業員に比べて、直属のチームとの関係や、リーダーへのアクセスが悪いと答えている。さらに、18~25歳の人々は上の世代に比べて、仕事に意欲や刺激を感じたり、会議で発言したり、新しいアイデアを提案したりすることが難しいと感じている。

 それでも希望はある。より多くの人がハイブリッドな働き方に戻っている国々の傾向を調べたところ、チームの孤立感が改善されていることがわかったのだ。

 たとえばニュージーランドでは、ロックダウンの最中にチームの孤立度(物理的に距離のあるネットワーク内のコミュニケーションの量で測定)が急激に高まり、ロックダウンが解除されると改善された。この傾向は韓国などでも見られた。

 このデータは、筆者らの仮説を裏づける。リモートワークはチームをよりサイロ化させるが、職場で対面の時間を復活させることが、その改善に役立つのだ。