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会議の席でいざ発言しようと思っても、出席者が次々に声を上げて自説を繰り返す場面では、どう割って入ればいいのかわからない。結局、意見を伝えられず、自分は何の貢献もできなかったと悩むこともあるだろう。自分の見解を堂々と伝えたいリーダーにとっても、出席者の声なき声を拾うことの重要性に気づいているリーダーにとっても、相手の話を遮る「割り込み」の技術を身につけることが欠かせない。本稿では、会議をもっとインクルーシブに変えるための具体的な方法を紹介する。


 会議室の後ろの席に座って、時が刻々と過ぎるのを横目で見つめる。発言のチャンスを狙って次々に声を上げる人たちの間にどう割って入ればよいかわからず、私はますます口を挟みづらくなる……。

 筆者は、もともと外向型と内向型が入り混じった性格だが、リスクが高いと感じた時や自説を曲げようとしない人が多い会議ではいつも、尻込みして、自分の意見を聞いてもらうために人と競うことを避けてしまう。そのため、会話にほとんど、あるいはまったく貢献できなかったと自分を責めながら、会議を後にすることが多い。

 多くのリーダーが、大きなプレッシャーのかかる、しかも最近ではほとんどバーチャルで行われる会議で、自分の役割を果たすのに苦労している。なぜならば、パフォーマンス不安によって恐怖や緊張が増したり上司や同僚が話しすぎて会議が誰かの独壇場になったりしてしまうからだ。また、会話に加わろうと果敢に努力するも、排他的な集団規範や暗黙のバイアスのために見ぬ振りや聞こえぬ振りをされたり、受け流されたりする人もいる。

 原因が何であれ、自分の意見を聞いてもらいたいと奮闘しているリーダーと、自分はともあれ、物言わぬ部下にもっと発言してほしいと考えているリーダーの両者にとって、相手の会話を遮る「割り込み」(Interrupting)の技術を身につけることは、集団規範を揺るがし、声なき声を引き出すのに役立つ。

 たとえば、筆者のクライアントであるマックス(仮名)は、あるフォーチュン 500企業の人事部門を率いている。彼は1日の大半を、難しい質問に上品かつ誠実に答えることに費やしている。

 ところが、最近の同僚からのフィードバックで、自分がダイバーシティやインクルージョンに関するやっかいで難しい会話を避けていると見られていることがわかった。たしかに、適切な言葉が見つからないと会議で固まったり、黙り込んだりすることがあるのは本人も認めている。

 マックスは2カ月間にわたって、そうした状態になった時の新たな行動、すなわち相手の発言に対する割り込みを試みてきた。緊迫したり、込み入った話題になったりするたびに、「非常に難しい問題ですが、私も発言を試みてもよろしいでしょうか」と言って、しっかりと議論に参加し、拙いながらも自分の意見を共有する道を切り拓いている。

 彼は、このシンプルな行動によって、そうした難しいテーマでも自分のプレゼンスを守り、声を上げることができるようになった。この行動には、他者にもそうした難しい議論に参加するよう促す効果もある。

 割り込みには賛否ある。人は話を途中で遮られると、軽んじられていると感じる場合があり、男性は口を挟む女性を失礼な人だと見なす傾向がある。割り込みがどうとらえられるかは、会話のスタイルや文化的コンテクストにも左右される。

 だが、よりインクルーシブな職場を目指して努力するリーダーとして、声なき社員や疎外された社員に発言の機会をつくるために、敬意を持って割り込む技術を習得することができる。会話に上手に割って入り、自分や他者を一歩前に踏み出させるために、以下に紹介するヒントが役立つだろう。