●仕事量が多いのは一時的なことだと思い込む

 フランチェスカは、ある国際会議の議長という魅力的なポジションを打診され、思わず飛びつきたくなった。だが、それは準備に何百時間も要する仕事だった。

 いまは目が回るほど忙しいが、あくまで一時的なものだと、フランチェスカは考えた。進行中の3つのプロジェクトは完了間近でもあると、彼女は自分に言い聞かせた。だが、ひっきりなしに新たなリクエストが舞い込むことは、度外視した。会議の議長を務めるために、年間の仕事量を減らすつもりもなさそうだった。

 もしあなたもフランチェスカのように、このありがちな幻想に浸っているならば、昨年の主要プロジェクトを客観的な目で振り返ってほしい。どれがあらかじめ計画されたプロジェクトで、どれが突然降りかかったプロジェクトだったか。

 すると、実際にあなたの未来のカレンダーがどのように埋まっていくかが見えてくる。最もインパクトのある項目を優先して、残りは断るか、期待値を下げるか、あるいは支援を求めるというように調整できるだろう。

 ●次はもっと簡単にできるはずだと思い込む

 経験は最良の教師というが、変化が加速する現在、新規事業を試みるたびに経験したことのない難題が浮上する。

 フランチェスカは、新たなプロジェクトは前回よりもスムーズに進むはずだと思い込もうとしたが、実際には、夜中まで残業する日が増えた。やがて彼女は、専門能力と計画性があっても、ある種のプロジェクトに関しては想定より20%多くの時間がかかることを学んだ。

 そこで、あらかじめ計画にバッファーを組み込み、さらにバッファーを加えることにした。たとえば、サマリーの執筆に2日間かかりそうならば、半日多く見積もる。火曜に提出すると約束するのではなく、水曜正午の完成を想定し、木曜中に提出すると約束する。

 エビデンスに基づいたバッファーを持つことで、より現実的な見積もりが可能となり、納期を後ろ倒しにして、不測の事態に備え、ストレスを減らし、人生の別の部分に使う時間も得られる。

 ●すぐ手に入る報酬がよいと思い込む

 相手を喜ばせたいという欲求は、時間を現実的にとらえるうえで大きな妨げとなる。上司から肯定され、同僚に認められることは、自分が意欲的で誰からも頼られる存在であることの外的報酬だ。新たな仕事の機会がある時には、ドーパミンがあふれ出し、思わず手を挙げたくなるかもしれない。

 だが、まず考えてほしい。もし水準以下の仕事を提出したならば、チームメンバーに遅延を余儀なくさせたならば、よく考えずに慌てて約束したことで適切なタイミングで質の高い仕事を提出できなかったならば、ゴールラインで同僚はどう感じるだろう。

 プロジェクトが始まってもいない段階ではなく、終了時点で喜ばれることを基準にして、合理的に可能なことは何かを判断する。あなたの仕事の一つひとつを積み上げたものが対処可能な全体量であり、人間関係も損なわずに済む。