Illustration by David Biskup

在宅勤務が長期化する中、リモートで仕事を続けるチームのモチベーションが低下しつつある。この問題を解決するうえで、ジャズや演劇などのクリエイターが用いるテクニックを活用することが有効だ。本稿では、リモート環境でチームの創造的思考を促す5つの方法を紹介する。


 在宅勤務が始まってから1年が経過し、リモートチームはモチベーションを失う危険にさらされている。

 ビジネスリーダーは、クリエイターのテクニックを活用することでチームを活性化し、新たな推進力とイノベーションを生み出すことができる。たとえば、ジャズミュージシャンの即興演奏は、脳内の感覚が高まり、認知的制御機能が不活性化することで、驚くほど自由な自己表現が可能になるという研究結果がある

 しかし、「フロー状態」になれるのはジャズアーティストだけではない。音楽の世界にとどまらず、世界中のあらゆる企業のオフィスで(自宅でも)それは可能だ。誰もが、自然にあふれ出るクリエイティビティを発揮して、ふだんの枠を超えたアイデアを生み出すことができるのだ。

 以下の5つの芸術(アート)のテクニックは、チームの創造的思考を促進し、リモートワークの単調さを解消することができる。

ビジュアルアートで新たな見通しを描く

 ビジュアライゼーションは脳内イメージによって機能し、神経細胞がそのイメージを実際の活動のように解釈する。つまり、何かをイメージすると、脳細胞はそれが実際に起きている時と同じような働きをするのだ。「見ることは信じること」という表現があるが、「見ることは行動すること」と言える。

 実際の例を紹介しよう。ある大手NPOの職員を対象に、アカデミー賞の授賞式に出席しているところをイメージしてもらい、自分がノミネートされなかった賞、ノミネートされた賞、そして受賞した賞を想像してもらった。それによって彼らは、自分たちが目指しているものは何か、目指していないものは何かを認識することができ、シナリオをイメージすることで目標を立て直し、実現する方法を知ることができた。

 実現したいことをビジュアル化することで、最終的なゴール地点に立つことができ、プロセスと葛藤する中で目的の核心を見失うことがない。クライアントの写真を印刷するのは気がすすまないかもしれないが、クライアントのロゴやミッションステートメント、ブランドカラー、広告などをワークスペースに掲げてみるといいだろう。B2Cの事業を展開しているなら、ユーザーやターゲットの人物像を描いてみよう。

 もう一つの方法が、ビジネス上の問題に対する答えを絵に描くことだ。絵を描くことは、心の中のありのままのクリエイティブな面を開放する効果的な方法だ。自由形式の質問に答える時の通常の表現手段を変えるように人々を促すと、体系化された段階的なプロセスが探索的なものになる。フローチャートやベン図を描くのは適切ではないが、与える指示や制限は最小限にすべきだ。

 素晴らしい指示の例を紹介しよう。自分たちが描いた洞窟画を2000年後に人類学者が発見するという想定で、チームに現状を1枚の紙に懸命に描いてもらうのだ。現実を一つの芸術的表現に凝縮することで、細部よりもいま起きていることの核心に迫ることができる。仕事の際には欠如しがちな、感情的で感覚的な表現を選ぶ人もいるだろう。