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米国では長年にわたって、組織から無意識バイアスを軽減するための取り組みに多額の費用が投じられてきた。だが、依然としてバイアスはなくならない。実際、バイアスは人生の非常に早い段階でつくられるため、大人になってから変えようとしても難しいと筆者は指摘する。そこでカギとなるのが、家庭における早期教育だ。バイアスが定着する前の子どもの段階から適切な介入を行うことによって、平等主義的態度を育むことができれば、子ども世代がつくる未来はいまより公平で平等な社会になるはずだ。本稿では、そのための3つの方法を紹介する。


 親は自分の子どもが幸せになり、実力を発揮し、充実した人生を送ってほしいと思うものだ。とりわけ不平等に対する意識がますます高まる現在、子どもが公正で公平な社会の一員になってほしいとも願っている。

 筆者がエグゼクティブコーチ、ダイバーシティアドバイザー、そして働く親として大きな関心を抱いているのは、バイアスが人生の非常に早い段階でつくられることだ。

 米国では、職場の無意識バイアスを軽減するための研修に年間約80億ドルが費やされている。それでも、バイアスはなくならない。

 ハーバード・ケネディスクール教授で行動経済学者のイリス・ボネットは、2016年の著書『WORK DESIGN(ワークデザイン)』で、無意識バイアスの「脱バイアス」は特に難しいと指摘している。同書によれば、米国の中規模企業は過去30年間、無意識バイアスの研修に莫大な投資をしてきたが、ダイバーシティの拡大にはつながっていないとする研究結果もあるという。

 このことは、バイアスには長期的なインパクトがあり、大人になってから変えるのは難しいことを示唆している。バイアス解消の努力は続けるべきだが、バイアスが定着する前の子どもの時期に介入するほうが、インパクトが大きいことを示しているのだ。

 社会集団としての子どもの育て方やロールモデルは、やがて現在の子ども世代がつくる未来、そしてさらに重要なことに、彼らが社会の主役となった時に抱く価値観に大きな影響を及ぼすだろう。

ロールモデルのインパクト

 現時点の予測では、いまのアプローチを変えなければ、ジェンダー平等が達成されるまで108年間かかるという。

 ここでカギとなるのは、現在の子ども世代が社会人になった時、依然として権力を持つ立場になる可能性が高い男児の平等主義的態度に、いまインパクトを与えることだ。29カ国を対象にした最近の研究では、男児の場合、家庭でのロールモデルの在り方が成人した時の平等主義的態度に大きな影響を与えることがわかっている。

 この研究はさらに、ロールモデルとしての母親が与える影響は、男児と女児で異なることも明らかにしている。女児の場合、女性ロールモデルは将来の就業や仕事の成功に影響を与えるが、より重要なことに、そのロールモデルは母親である必要はない。

 男児の場合、仕事の成功には男性ロールモデルが大きな影響を与えるが、平等主義的態度は働く母親から大きな影響を受ける。母親が働いている男児は、女性の実績を評価し、働く女性と結婚する可能性が高い。興味深いことに、男児は母親以外の女性ロールモデルから大きな影響を受けることはないという。

 別の研究では、親の行動が与える「間接的なメッセージ」が、子どもの野心や成功に対する期待、さらには他者の成功に対する認識に重大な影響を与えることが明らかになっている。平等主義的態度に関しては、「私の行動を真似るのではなく、私が言ったようにしなさい」と子どもに言い聞かせるだけでは足りないのだ。

 では、どのようにすればよいのだろうか。子どもに平等主義的態度を育むための3つの方法を以下に紹介しよう。