実践からのアドバイス

 ケーススタディ(1)部下には率直に接し、やる気を取り戻す計画をクリエイティブに考え出す

 デジタルマーケティング・エージェンシーのエクスポージャー・ニンジャでCOOを務めるチャーリー・マーチャントは、通常であればめげることはない部下でも、いくつかの理由でやる気を失うことがあると語る。

「多くの場合、パフォーマンスの変化から部下の私生活に何か難しい問題が起きていることに気づく」と、彼女は言う。「しかし、仕事の仕組みの変化やマネジメントの交代、仕事に進歩や発展がないこと、あるいは単に仕事の内容がその人の強みや興味に合っていないという理由でやる気を失っていることもある」

 つい最近も、チャーリーはやる気を失った部下に対応した。ここでは仮にボブと呼ぼう。ボブは2年間、チャーリーのチームの中でも堅実で信頼できるメンバーだった。

 ボブは常に、とても有能で仕事熱心なメンバーだった。だが突然、変わってしまったのだ。彼は仕事への関心を失ってしまったように見えた。締め切りを守らなくなり、ボブの辛辣な態度に同僚は不満をこぼし始めた。「以前のボブは目標を見据えて、それに向かって突き進んでいた。それなのに突然、パフォーマンスが低下していった」と、チャーリーは振り返る。

 何が原因で振る舞いが変化し、パフォーマンスが低下していったのか、ボブと話し合う必要があるとチャーリーは決めた。チャーリーは率直で単刀直入だった。「ボブが不安に陥らないように、自分は彼の仕事にいつも満足していること、そして支援したいと思っていることを伝えた。だがそれだけではなく、このところ以前のような熱意を感じられないことも伝え、その理由を教えてほしいと頼んだ」

 ボブの説明によると、彼は自分に進歩がないことにいら立っていた。長らく同じ職務に就いているにもかかわらず、キャリアパスの次のステップが彼には見えなかったのだ。

 チャーリーは、残念ながらいまの部門にはボブのレベルに合うようなシニアポジションに空きがないことを正直に伝えた。だが、解決策はあった。「社内では、従業員に他部門のポジションを紹介している。ボブにさらなる研修を受ける気があれば、いまより職位が高く、給与も高いポジションへ異動することが可能だった」

 チャーリーはボブのスキルと目標について本人と話し合い、他部門のマネジャーにも意見を求めた。そしてボブは、勤務時間の一部を他部門での仕事に費やすことを含めた研修育成プログラムを受けることで合意した。このプログラムで彼が優秀な成績を修め、他部門のマネジャーとの面接がうまく進めば、ボブは昇進できるはずだ。

 チャーリーはプログラムの期間中、ボブに進み具合は順調か、新しいタイプの仕事を楽しめているか、事あるごとに確認した。「新たな方向性を得たボブは、再び仕事に集中できていることがわかった」

 ボブは昇進し、現在の立場で以前にも増して熱心に仕事をしている。