●個人に合った支援を提供する

 根底にある問題について理解を深めることができたら、本人と一緒に解決法を見つける必要があると、リムは言う。どのような手助けを必要としているか、本人に尋ねる。その部下がやる気を失った背後に何があるかによって、解決策は異なる。以下にその例を挙げよう。

・プライベートな問題によるストレスが原因だった場合

 柔軟に対応する。部下が自分の個人的な問題に対処するために仕事がおろそかになっているならば、あなたは目立たないように配慮しながら対応する必要があると、ボーイズは述べる。たとえば、ある部下が夫婦間のトラブルに直面していたり、病気の親を介護する必要があったりする時には、共感を示して支援を申し出よう。優しさを持って接することが肝心だ。

 本人に何が一番の助けになるかを尋ねる。在宅勤務や短時間勤務、あるいは職務範囲の削減かもしれない。そのうえで、期間を定めて、サポート体制が取れるように計画を立てる。他のチームメンバーに対する説明は「当人のプライバシーと機密性を尊重する」内容でなければならないと、リムは指摘する。

「この情報を限定的にチームで共有したいが、問題はないか。あなたが何らかのプライベートな問題に直面していることを伝えれば、チームは理解を示してくれるだろう」というように、本人と話し合うのがよいとリムは話す。「この問題に適切に対処できるような」メッセージを、本人と一緒に考える。

・やる気を失った原因がスキル不足である場合

 研修を提供する。「仕事量が変わったり、人の出入りが頻繁に起きたりすると、ふだんは仕事熱心で意欲のある人でも、やる気を削がれる」と、リムは指摘する。「苦戦しているうちに、自分が失敗するように仕組まれたと感じて、やる気を失ってしまうのだ」

 職場環境の変化が仕事の遂行能力にどのような影響を与えているかについて、部下に尋ねてみるのがよい。「本人のスキルや興味、能力が仕事とうまく合致しなくなった可能性もある」と、リムは言う。その場合、社会人教育コースや1対1のコーチングといった形式で支援することができるだろう。また、「部下の強みと職務がうまく合致するように、仕事の割り振りを見直す」ことを考えるのもよい。

・本人が飽きてしまっている場合

 クリエイティブに対応する。部下の目標は何かを見極めるよう、ボーイズは助言する。「本人が達成感を得られていないのはなぜか、その理由を把握する。そして、本人の期待に沿うようにするにはどのような助けが必要かを聞くとよい」

 さらに、本人の興味を再燃させるための解決法を見つけるべく、多くのリソースを持って対応しなければならない。「継続的にスキルを開発する必要があるのかもしれないし、没頭できるような新しいプロジェクトが必要なのかもしれない」と、ボーイズは説明する。部下を奮い立たせ、プロフェッショナルとしての視野を広げるにはどうすればよいかを考える。

・部下が燃え尽き症候群に陥っている場合

 現在の職務要件の妥当性を検討する。「職務に対する公式な期待と実際に部下が遂行している仕事が、必ずしも一致しているとは限らない」と、ボーイズは述べる。

「もし本人が、定められた基本的な要件を満たしているだけでなく、過去にそれをはるかに超える仕事をしていた場合」、持続不可能な働き方をしていたために燃え尽き症候群に陥っている可能性がある。

 その場合、その部下に対する期待を再考する、あるいは貢献全体をしっかりと認識する方法を見出すことが必要になる。「本人の実績を確実に評価するためには、新たな肩書きや仕組みが必要かもしれない」

・部下がやる気をなくした原因が仕事関連の不満である場合

 共感を示す。「複雑なチームダイナミクス」のせいで、部下が一時的にやる気を失うのはよくあることだと、ボーイズは言う。だが、あなたは部下の不満を真剣に受け止めるべきであるものの、その部下がやる気を失っていることによって、チームにも影響が及ぼされることを明確に伝えなくてはならない。

 そこで、次のように語りかけることを、リムは勧めている。「言い分はしっかり受け止めた。たしかに状況はよくないと思う。しかし、別の角度からはこう見えているということも知っておいてもらいたい。他のチームメンバーはあなたが一歩退き、貢献していないと感じているのだ。士気や生産性に悪影響を及ぼしている」

 本人に対するメッセージの要点は、以下である。「私はあなたのことを心配しているが、他のチームメンバーのことも心配している。そして、あなたの振る舞いはネガティブな影響を与えている」

・部下が自分の振る舞いにまったく無自覚な場合

 慎重に進める。部下は自分の振る舞いがいつもと違うことに気づいていないかもしれないと、ボーイズは指摘する。この場合、油断は禁物だ。

 まず、自己認識の限界のために、本人が単に気づいていない可能性がある。自分の振る舞いの変化に目を向けさせれば、自覚できるようになるだろう。

 それに対して、認識の欠如が鬱のような、より深刻で複雑な個人的問題を抱えている兆候であることも考えられると、ボーイズは説明する。「マネジャーが部下の私生活を詮索して回るのは、適切でないことが多い」ため、あなたの選択肢は限られている。支持的な聴き方で相手の話に耳を傾け、必要なサポートを得られるように手助けすると申し出る