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部下がやる気を失うと、本人のパフォーマンスはもちろん、チーム全体にもネガティブな影響が出る。だが、即座に本人を呼び出し、理由を問い質しても解決には遠い。まずは、実際にどのような影響が出ているか、会社として支援できるリソースはあるかを把握して準備を整えることが必要だ。そのうえで、問題の部下と思いやりを持って対話し、何が最善策かを一緒に探すのがリーダーの役割である。部下がやる気を失った根底に何があるか、それに対して何ができるかを探るための指針を紹介する。


 チームメンバーの誰かが「心ここにあらず」の状態に陥ると、実にやっかいだ。必要最低限の仕事しかしていないかもしれないし、大事な締め切りに間に合わなかったり、最重要プロジェクトで失態を演じていたりするかもしれない。

 本人に何が起きているかを見極めるには、どうすべきだろうか。一時的なスランプだとすれば、どう対処するのがよいか。長期的な問題だった場合、どう対応すべきか。さらに、そのメンバーのやる気が欠如しているせいで、他のチームメンバーが悪影響を受けたり、いら立ったりしないための最善の方法とはどのようなものだろうか。

専門家の意見

 従業員がやる気を失う要因は無数にあると、元臨床心理士でThe Healthy Mind Toolkit(未訳)などの著者であるアリス・ボーイズは言う。

「ないがしろにされたと感じて、不満を抱いているのかもしれない。仕事が変わったことで、自分の力不足を感じているのかもしれない。あるいは離婚協議中であったり、親になったばかりでほとんど眠っていなかったりするような個人的な問題を抱えていて、そのために仕事に支障をきたしているのかもしれない。場合によっては、どのような振る舞いをしているか、自分でも気づいていない可能性もある」

 どのような理由であれ、そうした人々を支援する方法を見出すのがリーダーとしてのあなたの役割だと言うのは、The Joy of Strategy(未訳)の著者で、コンサルタントやコーチとして活動するアリソン・リムである。

 リムによれば、目的は「部下がやる気を失った根底に何があるか。それに対して何ができるか」という問いに答えを出すことである。以下に、そのための指針を紹介する。

 ●エビデンスを集める

 最初に、その部下がどのくらい期待から外れているかを正確に突き止める必要があると、ボーイズは言う。「職務要件の中で、そのメンバーが満たしていないものは何か。具体的に、どのようなネガティブな影響を組織に及ぼしているか」を自問する。

 その部下に問題があることを、どうやって知ったのかを考慮に入れることも重要だと、リムは言う。「そのメンバーのパフォーマンスが落ちていることを、あなたが直接目撃したのか。誰かから聞いたのか。あるいは、顧客が苦情を申し立ててきたのか」

 時系列についても、振り返って確認することが欠かせない。「最近持ち上がった問題なのか。あるいは、この部下のパフォーマンスは以前から少しずつ下がり続けているのか」

 こうした問いに対する答えが、問題を抱えた部下に対して、あなたがどのようなアプローチを取るべきか決めるのに役立つ。

「そのためには、データが欠かせない」と、リムは指摘する。「周囲にどのような影響を及ぼしているかを示す確実な証拠がない限り、誰かの振る舞いを問い質すようなことをしてはいけない」

 また、何がその部下のやる気を削ぐきっかけになったのかも考えてみるとよい(もちろん、あなたが知る由もないプライベートな問題を抱えているのかもしれないが、あなたがすでに気づいている組織の課題もあるかもしれない)。自社の職場文化を考慮に入れ、その部下に犠牲を強いている可能性がある複雑なチームダイナミクスについても熟考する。

 ●リソースについて学ぶ

 やる気を失った部下に直接話を切り出す前に、このような状況に対処するために組織にどのようなリソースがあるか、リーダー自身が調べておくことをボーイズは勧める。「何らかのプロセスや仕組みがあるはずだ。企業はこうした問題への対応を、場当たり的なやり方でマネジャーに任せているとは考えにくい」

 従業員支援プログラムやヘルスケアプログラム、人事プログラム、研修プログラムといった利用可能な支援制度について、あらかじめ学習する。解決策について部下とブレインストーミングするのに先立ち、情報を手に入れて準備を整えるのだ。

 ●思いやりを持つ

 部下と率直かつ誠実に対話する時が来たら、優しさを示そう。「人として、相手のことを本気で心配し、関心を持っていることを示すのが大切だ」と、リムは語る。それから、相手に質問を投げかける。

「あなたは相手を非難したり、その人物について報告書を書いたりするために会話を交わしているのではない。何が起きているかを理解するために、対話していることを忘れてはいけない」と、リムは言う。「そのメンバーが苦しんでいる理由が何であれ、心の底から相手を支えたいと望んでいることを明確に伝えるのがよい」

 相手の話に耳を傾け、共感を示そう。相手にとっての最善策を心から求めていることを示して、信頼を確立する。