HBR Staff/Courtesy LeRon L. Barton

米国の黒人差別は根強く、とりわけIT業界では圧倒的なマイノリティだ。白人の同僚が無意識に見せる差別的な言動を通じて、自分の人種を常に意識させられ、心をすり減らしている。黒人従業員が過酷な環境で居場所を確保し、出世し、成功するために、筆者は3つのアドバイスを贈る。


 テクノロジー業界で20年以上働いている黒人男性として私が言えることは、自分がどのように見られ、扱われるかは、ほぼ必ず人種が影響しているということだ。これまで勤務した会社では、すべてとは言わないまでも、その中の多くの部署でアフリカ系米国人の一人、時には唯一のアフリカ系米国人だった。

 自分が職場で唯一の黒人だと、それに気づく。

 周囲を見渡すと、自分と同じような外見の人や同じような話し方をする人、同じようなストーリーを持っている人がいないことに気がつく。近づいてきて「このフロアの40人のうち黒人はあなただけだ」と厚かましく言う人はいないが、他の人たちもそれに気づいていることを感じる。

 部屋に入った時の視線、仕事ができると知った時の人々の表情、同僚とのランチに誘われなかった時の疎外感、相手が日常の会話に自分を加えようとする時に見せるぎこちなさなどから、それを感じるのだ。

 IT業界の黒人であることは、米国の黒人であることと同様に、精神力の鍛錬である。心の中では常に、「自分はいつまで持ちこたえられるだろうか」と考えている。

 IT業界におけるアフリカ系米国人の少なさは、ベイエリアがシリコンバレーになった1970年代から問題になっていた。

 この頃、スタンフォード大学の工学部長だったフレデリック・ターマンが学生らに起業を勧め始め、その直後からベイエリアにはヒューレット・パッカードやゼロックス、より最近ではフェイスブックやアップル、グーグルなどが本拠地を構えた。これらの企業における多様性の欠如は何十年も前から疑問視され、批判されてきたが、問題はあまり改善されていない。

 シリコンバレー銀行によると、2018年に黒人のスタートアップ創業者に提供されたベンチャーキャピタルの資金は全体のわずか1%で、グーグルの技術職に占める黒人従業員の割合は2.8%、全従業員の4.8%にすぎなかった。最近では黒人従業員の割合について、ツイッターが6%、フェイスブックが3.8%とそれぞれ発表した。

 こうしたことのすべてがアフリカ系米国人に敵対的な環境につながる。「あなたは歓迎されていない」と言わんばかりだ。

 私はその間、テクニカルサポート担当やシステムエンジニア、ネットワークアーキテクト、プログラマーなど、IT業界で働く多くの黒人たちと会話を重ねてきた。

 雇われている会社から社員IDの正当性を疑われた話、白人のチームメンバーから「ダイバーシティ採用」だと見られ、学費をスポーツ奨学金で工面しなかったことに驚かれた話、崩壊した家庭の出身ではないことや、正確な英語を話せることに衝撃を受けた同僚の話など、唖然とするような話を交わしてきた。

 質問に答えたり、会議で発言したりした時に驚かれ、「あなたの発言はとても明瞭ですね」と言われたことは何度もある。

 こうしたエピソードに加え、名前の言い間違い「本当の」出身地に関する質問、仕事をうまくやり遂げたことへの畏怖といった、絶え間ないマイクロアグレッション(偶然や無意識からくる差別的な言動)が、私たちを、私を、精神的に疲弊させる。

 真の変化を起こすために、組織やリーダーがやるべきことは多い。一方で、黒人にはその変化を待っている余裕はない。私たちはIT大手の中で居場所を確保し、出世し、成功する資格がある。そして、より多様で、公平で、包摂的な働く場所を求めて戦っているし、戦うべきなのだ。

 もしあなたが黒人で、IT業界に興味がある、あるいは業界に入りつつあるならば、簡単な道ではないことを知っておいてほしい。

 人種や多様性への取り組みが驚くほど遅れている業界では、あなたはマイノリティだ。しかし、自分と同じような外見で、同じ経験をしている人たちから、安心感を得たり、学んだりすることができることも知っておいてほしい。20年以上この業界でやってきた私もその一人になることができるし、助言することもできる。

 私がIT業界のプロフェッショナルとして学んだ3つの教訓を紹介しよう。

 これらは職場での人種差別を解決したり、IT企業にアフリカ系米国人の雇用を増やすよう説得したりするためのものではない。むしろ、この業界を渡り歩き、健全な境界線を設定し、自分の精神的健康と成長に伴うキャリア形成を守るために使えるスキルを提供することが目的だ。