人間と機械を組み合わせる

 人間とAIが連携し、関連付け、介入、反事実のアプローチを組み合わせ、墜落した飛行機を発見したケースを考えてみよう。2009年6月、エールフランス447便はブラジル沖で荒天に遭い、228人の乗客と乗員を乗せたまま消息を絶った。フランス政府は2年かけて残骸を捜索したが、見つからなかった。

 捜索に4度失敗した後、政府は数学者のチームを招聘した。チームはAIを使い、新たな情報が入るたびに確率予測を更新するというベイズ統計学の手法を適用した。ここでの確率とは、機体が海底の特定の場所に沈んでいる見込みである。

 驚くことに、チームはたった1週間で機体の場所を特定した。どんな方法を使ったのか。最初にAIを活用した予測で、最も見込みの高い捜索エリアを特定した。ここは政府がすでにカバーしていた海域だ。

 一方、人間の洞察を必要とした部分がある。以前の失敗に関して政府のチームが考えもしなかった「新しい」情報を考慮に入れること、そして捜索における重要な変数を変え、結果に対する影響を見ることだ。

 決め手となったのは、次の問いを投げかけることであった。飛行機のビーコン(水中に沈むと作動する音響発信機)が機能しなかった可能性があり、そのために政府は墜落現場を見落としたのではないか――。事実、ビーコンの故障というこの仮説は正しかったことがわかり、残骸は初期の予測で特定された場所の近くで発見された。

 AIは強力な意思決定ツールだ。しかし最終目標が業績ならば、リーダーと経営意思決定者は、どうすればAIを最もうまく活用できるかを考え直す必要がある。

 これは意思決定を機械に委ねるという意味ではない。意思決定者に求められるのは、クリエイティブな介入思考と反事実的思考については人間の特技として注力しながらも、AIが真に得意とするデータ集約的な予測と関連付けの作業は、AIに頼ることである。

 人間と機械の協働が増えるにつれ、ムーアの法則と同じようなことが仕事にもたらされるだろうと、筆者は期待している。すなわち、両者の組み合わせによる意思決定能力が年々倍増していくのだ。ただし、これが実現するのは、まず自分自身の意思決定のあり方を変革してからに限られる。


HBR.org原文:When Should You Use AI to Solve Problems? February 17, 2021.