関連付け

 関連付けは、2つの変数間の相関関係を検証することである。価格を上げたら利益がどう変わるか、などだ。

 AIは膨大な量のデータを振るいにかけて、関連性を明らかにすることに非常に長けている。たとえばSNSは連想アルゴリズムを用いて、ユーザーの過去の行動を基に、どの投稿が最も多く閲覧を獲得するかを予測する。

 人間はこれがあまり得意ではない。より遅いうえに、バイアスに囚われるという両方の短所がある。このため、直感的な関連付けのみに基づいて意思決定をする経営者は、原因と結果について誤った結論に至る場合がある。たとえば、ある施策が望ましい結果を導いたと誤って思い込んだりする。

 典型的な例を挙げよう。筆者がアクセンチュアで国際的な企業戦略チームを運営していた時、我々は差別化されたサービス群の開発に大半の時間と資本を費やした。そのほうが顧客の支払意思額が多く、我々の増益につながっていると思われたからだ。

 しかし後日、差別化されたサービスを提供された顧客群と、そうでない顧客群の業績貢献度を比較してみた。すると、増益を後押ししたのはサービスの差別化ではなく、我々と顧客との人間関係であることが判明した。差別化と利益の間に明白な関係があるという立証されていない法則に、我々は何年も従っていたのである。

介入

 介入は、ある措置を講じ、結果に対するその直接的な影響を観察することである。実質的には、実験変数の操作だ。ビジネスの意思決定者は、これを頻繁にやっている。たとえば製品の価格を少し変更し、売上げや利益への影響を測定したりする。

 しかし、予測される結果について過度に自信を持ってしまうと、問題にぶつかる。効果的な介入に必要なのは、さまざまなインプットをテストし(たとえ意外なものでも)、それらが結果をどう変化させうるか見てみようという姿勢だ。この点では、人間のほうがAIよりも優れている。

 数年前、筆者のスタートアップは2つの有望な製品をリリースした。販売支援AIとフィンテックAIの業務用ソリューションである。それぞれの製品に適した市場を検証した結果に基づいて、AIを利用して予測シナリオを立てた。すると販売ソリューションのほうが、過密市場向けだが非常に売行きがよいだろうとモデリングで判定された。

 しかし我々は、販売ソリューションよりもフィンテック製品に予想外の強みがある可能性をテストするために、両製品のキャンペーンを並行して実施することを直感的に決めた。後者の市場は競合がより少なかったためだ。

 結果的に、フィンテック製品は90日の間に販売ソリューションの売上げをはるかに上回り、より小さい市場でより大きなシェアをすぐに獲得した。

反事実

 反事実という概念は、古典的映画『素晴らしき哉、人生!』の中で見事に描かれている。天使のクラレンスがジミー・スチュアートに、もう一つの悲惨な現実を見せる。彼が生まれていなかった世界の姿だ。

 実験において、ある変数が(本稿の主旨に照らせば、あるビジネス活動が)違うものであったら、何が起こりうるのか。自分の知識を総動員してこれを想像してみるという、クリエイティブな行為が反事実的推論である。

 筆者が若手コンサルタントだった頃、マクドナルドのCOO(最高執行責任者)から、本部のR&D予算の妥当性を検討するために手を貸してほしいと頼まれた。「あなたなら、どんな方法がありますか」と彼女は言う。

 筆者は長い間沈黙した後、こう答えた。「想像してみましょう。もしR&Dを本部がやらないで、フランチャイズ店に任せていたらどうなっているか、と」。ここでの反事実は、本部のR&Dが存在しなかったという想像上の現実だ。COOは、その世界では売上げが急減するだろうと考えたかもしれない。

 過去のビジネスの意思決定に対する本当の反事実をテストするのは、タイムマシンでもなければ不可能だ。とはいえ、反事実的な現実がどのようなものになりうるかについて、証拠を探し出すことはできる。

 マクドナルドの場合、筆者が提案したのは、近年の商品の発売について一つひとつ検証し、最初にどこで考案されたのかを確かめることである。

 このやり方から、知られざる意外な事実が明らかになった。ビッグマックやフィレオフィッシュを含め、ヒット商品の多くは現場から生まれていた一方、デラックスのような最大の失敗作の一部は、本部のアイデアだったのだ。

 この反事実による思考実験は、同社の製品イノベーションにおける本部R&Dの相対的な役割について、より鮮明な実態の把握につながったのである。