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私たちは仕事を通じて、給与や地位を得るだけでなく、帰属意識や承認によって自己肯定感を高めている。自分のアイデンティティのすべてが仕事にあるという人もいるかもしれない。それゆえ、ひとたび仕事を失えば、みずからの存在価値を見失い、自分が無価値な人間だと思い込んでしまう。だが、私たちの存在は仕事以上のものであるはずだ。本稿では、失業という危機的な状況下で、自分が何者であるかの感覚を取り戻し、アイデンティティを再定義するための方法を紹介する。


 仕事は私たちに給与以上のものをもたらしてくれる。それは承認であり、地位であり、帰属意識や自己肯定感、そして自己概念の強化である。研究によれば、仕事のアイデンティティの強さ、すなわち自己定義における仕事の重要性は、私たちのウェルビーイングに関係している。

 では、仕事を失った場合、何か起きるのだろうか。

 どのような経緯であれ、解雇されるのはつらい経験だ。しかし、みずからのアイデンティティが仕事と強烈に結びついていると、たとえ景気悪化やリストラのように本人に非がない場合であっても、仕事を失うことが大惨事のように感じられる。それは存在の危機、あるいは『話す技術・聞く技術』の著者らが「アイデンティティの大きな揺らぎ」(identity quake)と呼ぶもの引き起こす可能性がある。

 たしかに仕事という錨(いかり)、あるいは安心の源を失うと不安定になり、海を漂流しているかのように感じるかもしれない。極端な場合には、自分の価値を疑うどころか、自分には価値がない、あるいはまったく無価値な人間とさえ感じる可能性がある。

 だが、少し時間がかかるかもしれないが、自己定義の感覚を取り戻し、さらに再定義するためのいくつかの方法がある。