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バーチャル会議が常態化したことで世間話や雑談をする機会はほとんどなくなり、チームワークに支障を来たしているという声をよく耳にする。しかし、十分な休憩もなくズーム会議を詰め込まれている中、本題以外の話で時間を奪われたくないという意見も無視できない。本稿では、スモールトークを通じてチームのパフォーマンスを上げると同時に、メンバーのワークライフバランスを尊重するための4つの方法を紹介する。


 それは、あるCEOからの珍しい告白だった。「直近のスタッフミーティングで、全体の4割の時間をとりとめのない話に費やした」とジョージは言った。「以前のように皆で一緒に無駄話をした。オフィスを閉鎖して以来、最も楽しく、生産的な会議だった」。だがその後、「数人から苦情が来た」という。

 直後に、同じ会社の社長のローズがみずからの考えを打ち明けた。「私もCFOも不満だったので、ジョージと話をした」とローズは説明した。「彼には時間があるかもしれないが、私は1日12時間ズームをしている。正直、もし1日のうち30分でも時間があれば、ホームオフィスから抜け出して夫や子どもと一緒に過ごしたい」

 会議の本題に費やす時間と社交に費やす時間との間には常に葛藤があるが、繰り返し行われる会議のほとんどは自然なバランスを保っている。少なくとも、状況や関係者の変化によって均衡が崩れるまでは。しかし、ズーム(あるいは現在のバーチャル会議室を構成する他のプラットフォーム)を使って会議をしなければならないことで、そのバランスが崩れている。

 スモールトーク(世間話)ができなくなったことは、ジョージとローズだけでなく、多くのエグゼクティブにとって課題のようだ。主な原因は以下の2つだ。

 ●「集う時間」がなくなった

 新型コロナウイルス以前は、エグゼクティブは会議が始まる前に、コーヒーを飲みながら同僚と気軽に話をする機会があった。テーブルにつくと1対1や少人数での会話がしばらく続き、会議が本題に入る前に会話が大人数に広がることもあった。

 現在では、各参加者のウィンドウが画面上に表示されると、全員に話しかけるか、何も話さないかのどちらかだ。その結果、ズームのエチケットとして、その企業文化によって会議は予定通りに開始するか、関係する参加者がサインオンした直後に開始することが求められるようだ。

 しかし、会議の時間を妨げることなくチームが「無駄話」をする最良の機会である、会議前の数分間の集う時間がなくなってしまった。

 ●ズーム疲れが蔓延している

 ジョージもローズもみずからの仕事や、新型コロナウイルスにチームが適応してうまくピボット(方向転換)したことから活力を得ている。しかし、多くのエグゼクティブと同様、朝から晩まで立て続けに行われるズーム会議には疲弊している

 多くのマネジャーは、仕事が終わる前にエネルギーを使い果たしている。会議を終えればワークライフバランスの必要な側に時間を自由に使えることを知っている場合は特に、不必要に会議を長引かせることにいら立ちを覚えるのも無理はない。

 しかし、世間話をする時間をつくることは重要だ。ジョージは、チームの並外れたパフォーマンスを維持するには、過去数年かけて会社とチームに浸透させた文化を維持し、発展させられるかどうかにかかっていると考えている。

 重要なのは、個人とグループの関係を構築し、維持し、深めることにある。新しいメンバーを素早くチームに溶け込ませるには、経歴の説明だけでは不十分であることをジョージは理解している。他のメンバーのことも知る必要があるのだ。

 ジョージにとっては、そうした瞬間は形式張らない会話の間や、その後に現れるものだ。「ただ一緒に過ごす」ことには利点がある。感情を高揚させ、ウェルビーイングを高めるのは、世間話や雑談だ。人間関係を強化し、深める方法の一つであり、パフォーマンスの高いチームづくりには欠かせない。