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リーダーが財務目標を語るのは、利益と成長を追求する会社組織であればもっともだ。しかし、数字ばかりを強調すれば、従業員の士気が失われ、目標達成どころではなくなってしまう。不確実な時代だからこそ、従業員のパフォーマンスを高めるのは何か、根本に立ち返って考えることが欠かせない。すなわち、従業員エンゲージメントこそが組織の活力源であるという事実だ。リーダーがチームのエンゲージメントを高め、成果につながる行動に駆り立てるには、どのような言葉で何を語るべきか。3つの方法を提示する。


 もし、ミーティングの冒頭で「皆さんは組織の歯車であり、財務目標を達成することが第1の目的だということを忘れないように」と上司に言われたら、あなたの心は躍るだろうか。

 もし、自分の貢献が財務上の数値だけに凝縮されるならば、仕事への喜びや誇りを大いに感じることは難しい。冒頭の上司のせりふはいささか誇張されているとはいえ、多くの従業員が日常的に聞かされているメッセージと、さほどかけ離れてはいないはずだ。

 私たちが成長期、そして成長を期待する時期に移行するにしたがって、リーダーが財務目標を達成する大切さを強調するのは、自然の成り行きである。当然のことながら、財務成績は極めて重要だ。しかし、リーダーシップの話の中心に数字を据えれば、その代償は高くつく。

 財務上の成果はあくまでも結果であり、従業員のパフォーマンスを高める根本的な原動力にはならない。財務目標を過度に強調することが、従業員の士気を蝕み、会社の長期戦略にダメージを与えるというエビデンスは、近年増えている。リーダーが自分の発言の持ち時間の大半を「数値の達成」に費やせば、従業員との関係は取引関係になり、チームメンバーや顧客との関係も取引関係になる。

 2020年に起きたさまざまな出来事は、従業員エンゲージメントこそが組織の活力源であることを教えてくれた。あなたのチームが組織や自分自身の仕事について考え、感じ、信じていることが、従業員の行動を駆り立てる。そして、従業員の行動があなたの成否を決定づけるのだ。

 従業員の創造力を喚起し、大きな努力の成果を引き出したいリーダーは、根本に立ち返る必要がある。チームと過ごす時間を利用して、組織のパーパス、従業員の仕事そのものに内在する価値、そしてチームが顧客や同僚に与えるインパクトに関する信念を築かなくてはならない。

 そのための3つの方法を以下に挙げよう。