自信と能力は同等ではない

 私たちは間違って自信(ほとんどの場合、白人男性リーダーが示すタイプのもの)を、能力やリーダーシップと同等視してしまうことがあまりにも多い。男性中心というバイアスのかかったソーシャルスタイルに順応できない、あるいは順応しようとしない従業員はインポスター症候群だと決めつけられてしまう。

 組織心理学者のトマス・チャモロ・プレミュジックは次のように語っている。

「現実には、世界中のどこへ行ってもほぼすべての場所で、男性は自分たちが女性よりもずっと賢いと考える傾向がある。だが、傲慢と自信過剰はリーダーシップとは反比例の関係にある。すなわち、高業績チームを構築して維持する能力、そして部下に利己的なアジェンダは捨て、チーム全体の利益のために働くよう促す能力だ」

 たとえ本人が無能だとしても男性リーダーの自信を称えるシステムは、白人女性を自信不足だと罰し、非白人女性を自信過剰だと罰し、全女性を自信の表現方法が不適切だとして罰する。こうしたバイアスは陰湿かつ複雑で、白人男性をモデルとするリーダーシップから導き出された「適切な行動」という狭義に起因する。

 ジョージア大学名誉教授のケシア M. トーマスの研究によれば、非白人女性は言わば「ペット」として入社を認められるが、ひとたび仕事で影響力を得ると脅威として扱われることがあまりにも多い。非白人女性だからといって、けっして一枚岩ではないが、全面的な活躍を妨げるステレオタイプを乗り越えるという共通の経験によって結びついていることが多いからだ。

女性を治すのではなく、
バイアスを是正する

 インポスター症候群は、個人主義と長時間労働を称えるバイアスのかかった有毒な企業文化の中で蔓延していることが多い。にもかかわらず、何十年にもわたって「女性のインポスター症候群をどう治すか」という物語が主張し続けられてきた。

 非白人女性が確かに成功するためには、インクルーシブな職場というマルチビタミンが必要だと筆者らは考えている。みずからのアイデンティティが疎外され、差別され続けてきたプロフェッショナルは、インポスター症候群を治すことに注力するのではなく、明確な文化的シフトを経験することが欠かせない。

 リーダーは、女性と非白人のための構造的なバイアスと人種差別に対処した文化を構築しなければならない。そうすることで初めて、疎外されたコミュニティ出身の従業員の間に蔓延している、いわゆるインポスター症候群の経験を減らすことができる。あるいは少なくとも、こうした従業員が健全な自己不信をポジティブなモチベーションに転換する一助となる。それは互いに助け合う職場文化の中でこそ、育まれるものだ。

 そうなればおそらく、女性をインポスター症候群だと「誤診」する状況をついに是正できる日が来るかもしれない。


HBR.org原文:Stop Telling Women They Have Imposter Syndrome, February 11, 2021.