DX実現に必要な視点

上野 正雄(うえの・まさお)
アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ マネジング・ディレクター

BCG、AlixPartners等を経て、Accentureに参画。Private Equity Industryを統括。運輸・物流・ホスピタリティ・小売・食品・介護・保育・教育・人材派遣・建設・EC・ソフトウェア等の業界に対する、Due Diligence、Post-Acquisition Management、事業再生の豊富な経験を有する。また、Accenture Strategy & Consulting Groupにおいて、Ventures & Acquisitions Leadとして、戦略的パートナーとのエコシステム構築も推進。

――DXの推進において、自前でパートナーとなる企業を見つけ、アライアンスを進める場合と、アクセンチュアやAPといった企業を介してアライアンス全体を設計していく場合とでは、どのような違いがあるでしょうか。

上野 大企業はすでに幅広いネットワークを持っていますので、アライアンスパートナーを自社で見つけるのに困ることはないでしょう。ただし、肝心なのはエコシステムとして機能を相互に補完できる相手と組めるかどうかです。どのような価値が具体的に補完され、最終的に顧客にどのような付加価値を提供できるのか。そうした設計がきちんと行われずにアライアンスを組んでも、大きな効果は期待できません。

喜多 他社とDXに関するアライアンスを進める過程で、もくろみと現実とのギャップに悩んでいる会社も多いと思います。あくまでDXは目的を果たすための手段であり、同様にアライアンスはDXを効果的に実現するための手段です。アライアンスパートナーやソリューションの選定においては、それを忘れないことが肝心です。

上野 当社の場合、あらゆるエコシステム・パートナーの中から、顧客の状況に最適なソリューションを自由に選んで組み合わせます。当然のことながら、同じ問題でも、顧客が違えばソリューションやアライアンスの形も違ってきます。その最適化をダイナミックに行えるのは、手前みそながら、社内にケイパビリティやアルゴリズムの良しあしを客観的に評価できる、目利き人材がいるからです。

喜多 われわれの立場からすると、そうした目利き部分をアクセンチュアのような外部パートナーに求めることもありますし、われわれ自身が担うこともあります。特にテクノロジーの領域では、外部のエコシステム・パートナーと組むことが多くなりますが、その積み重ねの中で、どのエコシステム・パートナーがどういったソリューションを持っているか、対投資効果はどれくらい期待できるのか、豊富な知見を蓄積しています。

上野 大企業が自社でベンダー等を探す場合も、状況に合わせて最適な相手を選べるなら問題ありません。注意が必要なのは、特定の会社に固定してしまうことです。後々、システム変更のオプションが限られることになり、レガシー化してしまう恐れがあります。

喜多 中堅企業では、コンサルティング会社に依頼するにはコスト面で限界がある、既存のベンダーからしか具体的な提案を受けていない、といったところも多いと思います。そこにわれわれバイアウトファンドの出番があります。バイアウトファンドのノウハウや資産を生かして、外部のDX ソリューションをどのように事業に生かすか、そのケイパビリティを高めているところです。

上野 バイアウトファンドから支援を受けてDXに取り組むことができるのは、ガバナンスの利いた企業であり、投資における一定の条件をクリアした企業だといえるでしょう。しかし、DXがそれで成功するとは限りません。外部から投資を受ける立場として、進化を阻む組織風土や古い習慣を、DXによって変革していくのだという強い決意が必要だと思います。

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