いつか来た道

 バブル崩壊の最も明白な兆候は、熱狂的に成長していることだ。

 株式市場が世界的に乱高下している中、SPACは2020年に830億ドルを調達している。これは2019年の調達額の6倍で、IPOによる調達額にほぼ匹敵する。2021年1月には、SPACの幹事会社でもあるゴールドマン・サックスのデイビッド・ソロモンCEOでさえ、このブームは「中期的には持続可能ではない」と警鐘を鳴らしている

 さらに、SPAC経由で上場した企業は、事業計画や収益に関する情報をほとんど公開していないところも多く、一部で不満を募らせた投資家から株主代表訴訟を起こされている。最も悪名高い例は、ニコラだ。

 新興EV(電気自動車)トラックメーカーのニコラは、昨年6月にSPACとの合併により上場したが、3カ月後に空売り筋による不正疑惑が浮上。創業者が辞任し、株主から相次いで訴訟を起こされた。同社の株価は6月のピーク時の数分の1に下落している。

 ファンタジースポーツを展開するドラフトキングスや、データ会社クラリベイト・アナリティクスなど成功例もあるが、その数は比較的少ない。最近の調査によると、SPACの大半は合併後に株価が下落している。

 メディアに流れる否定的な感情と規制当局の懸念も、バブル崩壊の警鐘の一つだ。SPACに関する報道は、否定的で注意を促すものも少なくない。「SPACは最後にオーブンで温めるだけの取引で、あわてて手を出すべきではない」と、『フィナンシャル・タイムズ』紙は昨年12月に警告している。

 ジェイ・クレイトンSEC委員長(当時)も昨年9月に、SECはSPACを注視し、SPACの株主が「IPOに関連して得られる情報と同じように、厳格な情報開示を受けている」ことを確認したいと語っている

 SPACは資金調達後24カ月以内に合併可能な企業を決めることができなければ、清算して、IPOの収益は投資家に還元される。現在300以上のSPACが、年内に清算されるリスクに直面している。

 ただし、質の高いターゲット企業は限られている一方で、SPACの設立者には株主価値を犠牲にしても取引を成立させたいという強いインセンティブがあるため、取引の質の低下、否定的な報道、規制の強化という負のスパイラルに陥る可能性がある。そのスパイラルが逆さ合併にもたらした結末を、私たちは知っている。


HBR.org原文:The SPAC Bubble Is About to Burst, February 18, 2021.