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コロナ禍で世界は激変し、未来は不透明のままだ。先が見えない中で計画を立てても予定通りには進まず、立てること自体が無駄だと諦めてはいないだろうか。しかしそれでは、計画を持つことでもたらされるストレスの軽減、そして成果の向上という恩恵を手にすることができなくなる。そこで筆者が推奨するのが、マイクロプランニングという手法だ。大きなビジョンをより短期の計画に落とし込み、状況が変わった場合に備えて、定期的に軌道修正するチェックポイントを組み込む6つのステップを紹介する。


 2020年は、何もかもが予定通りに進まない年だった。2021年2月の米国の失業率は2020年2月の倍近く、レイオフされた従業員数は依然として例年の平均を上回っている。加えて、日常生活が根底から揺さぶられて何もかもが宙に浮いている状態で「自分は本当のところ、人生で何をしたいのか」と多くの人々が自問している。

 もし今回のコロナ禍で何かよかった点があるとすれば、私たちが物事の優先順位を見直し、自分にとって本当に重要なことを再認識するようになったことだ。そして、いまも多くの人々にとって最優先の位置にあるのが、キャリアだ。

 しかし、5カ年計画のように自分がこれまで常に拠り所にしてきたものを手放すのは苦痛を伴い、自分自身が低迷している感覚を引き起こす可能性がある。

 計画を持つことは、ストレスを軽減する最善の戦略の一つだ。私たちは人間として、みずからコントロールしている、あるいは確かなものを持っているという感覚を常に必要としている。

 実際、自分がコントロールしているという感覚は、鬱や不安の症状を軽減し死亡リスクの低下にもつながることが、研究によって示されている。そして、自身がコントロールできているという感覚があればあるほど、実際に物事を達成できる可能性が高まる

 ずっと先の未来がどのような状態にあるかを知るというのは、もはや幻想であり、それがわからなくなったからといって、計画を立てることでもたらされるストレスの軽減、そして成果の向上という恩恵が得られないわけではない。重要なのは、時間と目標をどのように見るかだ。

 もしあなたが豊かで有意義な変化の一端を担いたいと思うならば、適応力がカギとなる。だが、これは流れに身を任せて成り行きのままに人生を送るのとは違う。

 この新たな時代の適応力は、戦略的計画を持ちたいという人間としての欲求を活かしながら、新たな情報を得て状況が変わった場合に備えて、定期的に軌道修正するチェックポイントをあらかじめ組み込む。これは「マイクロプランニング」と呼ばれる手法である。

 マイクロプランニングはシンプルだ。まず、大きなビジョンを持ち、それを毎年、毎四半期、毎月、毎週、そして毎日に分けてチェックする習慣をつくり、必要に応じて計画を調整する。これは、5カ年計画がもたらすのと同じ安定化効果の一部を与えながら、現在の経済的・文化的コンテクストに沿う形で、複数の短期計画をまとめたものだ。

 マイクロプランニングの基礎にあるのはバイオミミクリ、つまり「自然の中に存在する戦略から学び、それを模倣することによって、人間の構造上の問題を解決し、その過程で希望を見つけることの実践」だ。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックがいつまで続くかわからない状態下でストレスが長期化すると、最適に機能する能力が大きく低下するおそれがある。これは、脳が高次タスクを優先的に処理する機能や習慣ではなく目標に基づいて決断を下す能力のような認知能力について、特に当てはまる。

 しかし、マイクロプランニングを用いれば、今後1年間、3年間、5年間、あるいはそれ以降に起きることを自分がコントロールできると間違って考えたくなる誘惑を回避しつつ、このストレスを和らげることができる。