自分にとって大切なものを再確認する

 顔を合わせなければ、友人や家族に対する愛情は急速に低下する。2カ月間会わないと友人や家族との親密度は30%以上も低くなり、その後によそよそしくなる。そして、これは外出禁止令が最初に出されてからの期間よりもはるかに短いのだが、5カ月後には友人間の親密度は80%も落ち込む

 危機的な状況下では、人は自分のネットワークが実際よりも小さいと感じる。これは、リソースが少ない人ほど顕著だ。世界がどんどん狭くなっていると感じる時は、人間関係の実際の広さを思い出すことが非常に有効だ。ソーシャルメディアは、この点で役に立つ。

 オハイオ州立大学フィッシャーカレッジ・オブ・ビジネスのターニャ・メノン教授とノースウェスタン大学ケロッグスクール・オブ・マネジメントのネッド・スミス教授は、自分は何者か、自分のコアバリューは何かを思い出すことが、内向きになりがちな傾向を克服するのに役立つことを発見した。

 ネットワークが内向きになるのは、自分ではどうにもできないと感じるからだ。自分にとって誰が、そして何が大切かを再確認することで、安心感やコントロール感が生まれ、疎遠になっていた人にも連絡を取りやすくなる。

つながりを取り戻すことに集中する

 ソーシャルディスタンスの確保が必要な間と、多くの人にとってパンデミック後も続くであろうリモートワークへの移行中は、つながりを取り戻すことに焦点を当てることが重要だ。失われた人間関係の再生に積極的に取り組まなければ、ネットワークの縮小がもたらす影響は長期的なものになるだろう。

 だが、人々は連絡を取るのを躊躇することが多い。気まずい思いをするのではないかという誤解があるか、単に何を話せばよいのかわからないのかもしれない。実際には、感謝を述べたり、自分にできることを考えたり、助けを求めたりするだけでよいのだ。

 あなたのキャリアを支えてくれたかつてのメンターなどで、しばらく話をしていない人はいないだろうか。そうした人に感謝の気持ちを伝えよう。感謝の気持ちは、人とのつながりを深める強力な刺激となる。記事やポッドキャストを見たり聞いたりして同僚や以前のクライアントのことを思い出したら、相手にそれを知らせ、自分が相手を思っていることを伝えよう。

 助けを求めることも、再びつながるための強力な手段だ。相手にとっては人の役に立つことができ、目的意識を取り戻すことができる。

 他人とコンタクトを取る時、ネットワークの縮小を防ぐカギは、ズームのハッピーアワーに時間を費やすことやオンラインでの出会いを求めることではない。実際、筆者らの研究では、ビデオ会議は社会的つながりを維持するのに役立たないことがわかっている。オンラインで非言語的な行動を読み取り、伝えようとすることは、役立つどころか妨げになる。

 たとえば、カメラを見ながら相手の目の動きを読むことは不可能だ。それよりも、電話のほうがいいだろう。私たちは声を聞くだけで共感が増し、よりよい聞き手になることができる。電話はハグと同じくらいの効果があり、ある研究によれば、電話はストレスのバイオマーカーであるコルチゾールレベルを低下させるという。

 久しく会っていない人や、それほど親しくない仕事上の知り合いなどとバーチャルにつながることは、概してハードルが高い。しかし、失う恐れがあるのはそうしたつながりだ。

 ある研究では、企業幹部が現在の知り合いと、自分のネットワークから消えそうな人から受けたアドバイスを比較したところ、ネットワーク縮小の巻き添えを食うかもしれない元同僚のほうが、現在の知り合いよりも適切な仕事のアドバイスを与えていた。

 こうした人たちのことを考える時には、他社の視点に立つ「パースペクティブ・テイキング」(視点取得)を実践するとよい。相手が20分間の雑談をしたいと言ってきたと想像してみよう。あなたはどう反応するだろうか。多くの人がいま社会的相互作用に飢えていて、簡単な挨拶をするだけでも帰属意識を取り戻すことができる。

 サフォーク・コンストラクションでデータ分析を担当しているブレンダン・オリオーダンは、カジュアルな人間関係を積極的に維持する必要があると考え、毎週30分、バーチャルで同僚と一緒にコーヒーを飲みながら気軽な会話をする時間を持つことにした。

「反応は圧倒されるほどだ」とオリオーダンは言う。「一度もキャンセルされたことはない。『忙しいから無理』と言われたこともない。たいてい、30分以内にメールの返信が来て『やろう』と言われる」

 ネットワークの外側の円にいる人たちとのつながりを維持することは、イノベーション、創造性、問題解決、そしてウェルビーイングのために重要だ。しばらく会っていない人を3人リストアップして、連絡してみよう。そうすれば、あなたの1日がよりよいものとなり、仕事にもプラスになるはずだ。


HBR.org原文:Research: We're Losing Touch with Our Networks, February 12, 2021.