ネットワークの仕組みを理解する

 研究者のジリアン・サンドストロームとエリザベス・ダンがパンデミックの前に行った調査では、参加者にふだんの1日の中で見知らぬ人や知り合いと交流する頻度を尋ねた。すると平均的な人は、軽い雑談や偶然の出会いなど、近しい仲ではない11~16人と交流していることがわかった。そして、こうした見知らぬ人や知り合いとの交流が私たちをより幸せにし、帰属意識を高めることが明らかになった。

 パンデミックの間に、私たちの関心は見知らぬ人から、家族や友人、身近な同僚との関係を深めることにシフトした。あなたのネットワークを6つの同心円で考えてみると、外側の大きな円ほど情動強度が弱まり、最も内側の円には精神的・経済的に苦悩している時に頼る5人程度の人がいる。一番外側の円にいるのは、顔は知っている程度の知人や弱いつながりを持つ1500人ほどだ。

 筆者らが数百人を対象に、パンデミック前後の個人的および仕事上のネットワークを比較したところ、一番外側の円の大きさが縮小していることがわかった。しかし、その縮小に伴い、近しい人間関係は強化されていた。

 ストレスに対するネットワークの応答を調査している研究者らは、この傾向を「(亀のように)縮こまる」と呼ぶ。

ハーバード・ビジネス・スクールのイーサン・バーンスタインがIT企業でのデジタルインタラクションを調査したところ、同様のパターンを発見した。ロックダウン後に親しい関係にある人たち同士の交流は40%増加したが、その代わりに関係が浅い同僚とのコミュニケーションが10%減少した。長期的に見ると、縮こまり、見知らぬ人と交流する機会が減ることが、ネットワークの縮小につながっている。

 しかし、女性のネットワークは男性ほど縮小していなかった。むしろ、全体的なネットワークが縮小した要因の大部分は、男性のネットワークの縮小によるものだ。筆者らが2019年6月に200人近くを対象にネットワークを比較し、2020年6月に同じ人たちのネットワークを調べると、男性のネットワークは450人以上、30%近く縮小していた。一方、女性のネットワークはほとんど縮小していなかった。

 パンデミックの間、家事や育児の負担は女性に偏り、女性の離職率も憂慮すべき高さであることを考えると、このささやかな朗報は驚きだ。このことはまた、本稿筆者の一人(キング)が著書Social Chemistryの中で指摘した重要なポイントを浮き彫りにしている。人々はネットワークの仕組みを理解し、自分のニーズを満たすために時間を使う代わりに、ネットワークを広げることに集中してしまうことがあまりに多いのだ。

 女性が男性よりも多くの時間をネットワーキングに費やしているとは考えにくい。むしろ、女性の自然なネットワーキングのスタイルがパンデミックの際に有利に働いているのだろう。女性は感情的な親密さを保つために話をする。対面や電話で話したり、メッセージをやり取りしたりするのだ。

 著名な進化心理学者のロビン・ダンバーとサム・ロバーツが、感情的な親密さを維持する方法について男女を比較した研究によると、男性は女性とではやり方が異なる。男性は話をする代わりに「一緒に何かをする」のだ。

 スポーツや飲酒、釣り、トランプのブリッジなどを一緒に行う。しかし、話はしない。パンデミックによる社会的制約は、男性がつながりを維持することを非常に困難にしている。