●アイデンティティが交錯する部分に注力する

 GQを高め、状況認識を磨くためには、(複数のアイデンティティが重なる人々の中でも)非白人女性の経験について学ぶことが欠かせない。まず、その経験を理解したうえで、非白人女性は白人女性よりも価値が低いと見られ、傷つけられ、軽蔑され、排除され、孤立させられていると感じている可能性が高いことを認識する必要がある。

 多くの非白人女性は、ジェンダーでも人種でも支配的グループに所属しないため、自分の存在が無視されているように感じる。状況認識に優れた男性ならば、常に注意を怠らず、たとえば黒人女性が不公平な基準に当てはめられたり、昇進の機会を見落とされたり、採用時に提示される報酬額が少なかったり、事務スタッフや清掃スタッフに間違えられたりした時に気づき、介入できる可能性が高い。

・相手を1つのアイデンティティだけで定義する簡易表現や思い込みに気づくか。
・チームメンバーは、自分とは異なるアイデンティティに関する会話を避けているか。
・自分のアイデンティティに居心地の悪さを感じたり、知られると危険があると考えたりすることから、それを隠す可能性が高い人はいるか。

 ●誰が含まれているかに注意を払う

 女性の5人に1人が、自分は職場で唯一の女性だと回答している。この経験をする可能性は、シニアレベルの女性や男性が圧倒的多数を占める職に就いている女性の場合、2倍になる。職場にいる女性は自分だけという場合には、そうではない女性に比べて、辞職を考えたことがある可能性が50%高い

『USAトゥデイ』紙の元編集長であるジョアン・リップマンは、男性中心の環境にいる女性は「帰属の曖昧さ」(belonging uncertainty)を経験することがあると指摘する。「男性同士のランチや飲み会に招待されず、招待されていないのに自分から行くのは気まずい。会議室に行くと、男性の同僚はすでに事前会議をしていたり、互いに話をして笑っていたりする。そして女性が会議室に入っていくと、急に静かになる」

 誰が含まれていて、誰が含まれていないかを認識し、女性の同僚が帰属意識を持てるように気を配る。次のように自問してみよう。

・会議の出席者は誰か。誰が除外されているか。
・議論のテーマを考えた時に、誰が会議に出席して自分の仕事について発表したり、専門家として意見を言ったりすべきか。実際の出席者は、そのリストに合致しているか。
・テーブルに着いているのは誰で、その後ろに立っている、あるいは座っているのは誰か。
・誰の発言が最も長く、誰がほとんど発言しないか。誰のインプットが求められず、誰が無視されているか。
・誰の発言が途中でさえぎられるか。誰が「退出してよい」と言われるか。