出来た新規事業に
自らリスクを取って協業

 こうした三つの形態で、自らリスクを取って事業化に関わる例は珍しい。

 小森氏によれば、大企業や上場企業のクライアントだと実現しづらいリスクテイクやスピード感も、同社が協業することで可能になるという。北嶋氏は、「新規事業に関してこれまで2500社以上を支援し、1万2000以上の事業アイデアに関与してきた業界トップクラスの実績や知見を投入して協業します。当社の強みが生きるかどうかという点に加え、不確実性に応じて、適切な投資を実現しています。当社はあえて非上場にしているので、意思決定が速いというメリットもあります」と語る。

Relic
執行役員
ストラテジックイノベーション事業部長
小森 拓郎
Takuro Komori
法政大学卒業後、ミスミグループ本社にて仕入先・子会社メーカーの生産革新プロジェクト、国内新組織の立上げなどを手がける。外資系コンサルティングファームのアクセンチュアで製造業や流通業のクライアントに対する人事・組織系のコンサルティングを経て、2018年Relicに参画し、インキュベーション事業部のマネジャーとして活躍。2021年より現職。

 新規事業とデジタルというキーワードを掛け合わせた同社の強みの生きる領域で、公序良俗に反しないもの、新規事業として世に出す大義があるものであれば、不確実性を考慮しながら積極的に協業していく姿勢だ。

 同社はまた、新規事業開発に特化した組織・人事改革や人材育成を手がけることも積極的に行っている。

 一般に課題発見の能力があり、課題に対して果敢に取り組める”イノベーター人材”は3〜5%しかいないといわれる。「そうした人材は新規事業に取り組んでも正当に評価されなかったり、つぶされたり、離職してしまうことも多いものです。イノベーター人材や企業内起業家候補をアセスメントツールで定量的に見たり、協業するなかで定性的に評価して見つけ出し、経験を積んでもらって育成します」(北嶋氏)。

 これまでは事業を任せられる人材育成の研修プログラムやワークショップを実施していた。しかし、それでは研修の域を出ないので、「事業を一緒にやるなかで、ノウハウを吸収していただく」(北嶋氏)という方法を用いている。JVなどで事業リーダーを任せる。「疑似ではない実際の経験を積んでいただくことでしか、本当の成長は得られないかもしれない」(北嶋氏)からだ。同社ではこのように希少なイノベーター人材と良好な関係性を構築し、その能力や成果を最大化させるための支援を行うための考え方を、独自にIRM(Innovator Relationship Management)と名付けて体系化している。

 新規事業が生まれやすい組織設計や評価制度への変革にも関わる。大企業で評価制度そのものを抜本的に変えるのは時間がかかるが、新規事業に関わる目標を入れるなどの工夫は比較的短期間で実現可能だ。「要は会社が口だけでなく本気でイノベーションに取り組む姿勢を全社に示すことが大切です」(北嶋氏)と言う。

 新規事業では、黒字ではない状態で、正しく進捗しているかを見るために、プロセスにあったKPIの設定が必要で、その設計の支援もする。

 そもそも人事部と連携していれば、事業アイデアが出来た際に発案者を事業に適した部署に異動させるなど、体制づくりも含めて事業化が成功する確率が高まる、と北嶋氏。

 新規事業やイノベーション創出に関して、仕組み、戦略、人材、チーム、事業化での協業など、あらゆるフェイズ、局面での支援をカバーする同社。北嶋氏は、「挑戦する意志ある誰もが新規事業に関わる経験を積めるようインキュベーションを民主化したい。そして、事業を創り、事業を創る人をもっと創っていきたいのです」と結んだ。

UPDATE:本記事は4月9日時点の情報をもとにしています

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