すべてのフェイズを
一社で支援できる体制が強み

 3事業をさらに詳しく見ていこう。

(1)のインキュベーションテックは商標登録された同社独自の用語。この事業では、仕組みと技術でイノベーションを支援する。主力は三つのSaaS型プラットフォームのプロダクトだ。

「Throttle」(スロットル)はイノベーション創出に関わる人材やプロジェクトなどさまざまなデータを管理し、事業化を促進するイノベーション・マネジメント・プラットフォーム。すでに大企業やスタートアップを中心に1400社以上の導入実績がある。

「ENjiNE」(エンジン)はクラウドファンディングの仕組みを提供するプラットフォーム。「新規事業は不確実性が高くリスクが大きい。自社内でテストマーケティングして、一定の受注があったものを製品化する仕組みを持ちたいという企業は増えていますが、当社のようにSaaS型で固定費や初期費用がかからないものはありませんでした」と北嶋氏。事業を1→10にするフェイズでの利用が主で、すでに120以上のクラウドファンディングプラットフォーム構築を実現している。

「Booster」(ブースター)は製品のファンをつくり、そしてリピーターを育てる次世代型マーケティングオートメーション・CRMプラットフォームだ。事業を10→100にする成長段階を支援する。

(2)について北嶋氏は「これまで大企業が新規事業に取り組む際の外部支援は、戦略立案を外資系コンサルティングファームが支援し、マーケティングや営業は広告代理店が行い、プロダクト開発は大手のべンダーが請負う、という具合に各社依頼するケースが多く、別々に発注するのではコストがかかりすぎ、また関わる人が増えてコミュニケーションコストもかさみ、新規事業において重要なスピードや小回りが失われてしまうのが課題でした」と語る。

 新規事業をつくるための機能を網羅する同社の一社体制で支援し、なるべくコストをかけず、スピーディにトライ&エラーを繰り返すことが出来る支援方法を採ったのが、(2)の事業プロデュースだ。他社では部分的な支援しか行わず、コンセプトデザインまでしか支援してくれない、アイデアはあるがプロトタイプをつくり検証していくノウハウがないなどの相談も多いという。

 大丸徹也取締役によれば、支援する企業規模は大手からスタートアップまでさまざま。支援する産業や業界・業種は多岐にわたるが、なかでも同社の強みを生かせる、ITやデジタルテクノロジーを活用した新規事業開発を得意としている。

Relic
取締役
インキュベーション事業本部長
大丸 徹也
Tetsuya Daimaru
慶應義塾大学卒業後、フューチャーアーキテクトにてITコンサルティングやシステム開発のPMを多数経験し、DeNAで主にEC事業領域での新規事業や大手小売業とのオープンイノベーションによる新規事業の運営責任者を歴任。2015年に独立し、大手IT・通信事業者、EC事業者やスタートアップへのコンサルティングを手がける。2016年Relicに参画、取締役COO就任。2021年より現職。

 支援形態は、大きく分けてプロジェクト型とプログラム型の2種類がある。

 プロジェクト型では、特定分野の新規事業を手がけたい、アイデアはあるが仮説検証が難しい、自社内でプロダクトの開発やデザインができないなど、フェイズに応じたテーマで、特定の新規事業開発を支援する。

 プログラム型は、新規事業プログラムや社内ベンチャー制度、オープンイノベーションを狙うアクセラレーションプログラムなどに関して、プログラムや制度の設計や運用、アイデアや事業プランのブラッシュアップやメンタリング、審査や事業家、投資判断の支援をするなど、包括的に支援する。実際には、「大方針や戦略がないまま手当たり次第に取り組んでいる企業が多くあるのが現状です」(北嶋氏)。