信頼の科学を理解する

 モニタリングが失敗するのは、信頼にまつわる問題の誤った部分に答えを出そうとするからである。

 モニタリングは、弱みを見せられる余地を、マネジャーが排除するアプローチである。より適切なアプローチは、その余地をそのまま残しつつ、その余地やリーダーであるあなた自身が悪用される可能性を削減することだ。

 これは、何もかもに目をつぶって信頼するという意味ではなく、可能な限りリスクの低い方法で信頼を築く科学に依拠することでもある。

 ●相互の信頼を認識し、利用する

 信頼について語る時、他者の信頼をどう築くかに焦点が当てられていることが、あまりにも多い。これは、信頼が双方向的かつ相互的なものだという事実を見落としている。人が誰かを信頼し、信頼に基づいた行動を取れば取るほど、その見返りとして信頼されるようになる可能性も高いことが、研究で示されている。

 重要なのは、信頼関係は一方だけが独立して成立するものではないという点である。つまり、ネットワークの中で信頼を高めるには、自分自身に信頼する価値があるというシグナルを周囲に送ることに焦点を移す必要があるのだ。

 他者からの信頼が高まると、より確実で安定した環境ができ、不確実性が低下する。マキャヴェリズム流に表現するなら、互いをより利用しやすくなるともいえる。従業員があなたをいっそう信頼すれば、あなたの信頼を裏切る可能性が低くなるだろう(相互確証破壊が冷戦の土台にあったことを思い出してほしい)。

 これは、自分が利用されるようにお膳立てすることではない。信頼構築のリスクを減らすための戦略的な動きなのだ。また、どのようなシグナルを出すかは、自分自身がコントロールできる限りある事柄の一つであることも覚えておこう。

 ●信頼の階段を築く

 変化(行動の変化、文化の変化、その他のあらゆる変化)に関する相当数の研究から、あるメッセージが浮き彫りになっている。持続する変化を起こすための最善策は、小さなステップを繰り返し踏むことで、変化を強化することである。信頼を築くことも例外ではない。エビデンスと強化が必要なのだ。

 他者からの信頼を高めるもう一つの方法は、リスクの低いタスクに一緒に取り組む機会を探し、実際に試してみることである。そうすることで、自分の能力や誠実さを証明する機会が生まれる。

 たとえば、昼食を食べながら(あなただけでなく)参加者全員が自分の能力を披露できる「ランチ・アンド・ラーン」を一緒に企画することを提案するのも一案だ。

 最小限の投資で、機会コストや失敗コストの低い状況を探す。その状況で、まず自分が信頼に値することを示した後、より大きく重要な場面でもそれを示していくことで、信頼を徐々に強化していくことである。