実践からのアドバイス

 ケーススタディ(1)ニュース断ちをして、仕事を通じて他者を助けることに集中する

 UCLAヘルスのストラテジックマーケティング・チームでシニアマネジャーを務めるクリストファー・リーは最近、自分の仕事は「ちっぽけで、取るに足らないものだ」と感じる時期が続いた。コロナ禍と緊迫した政治情勢が、彼の心を蝕んでいたのだ。仕事中もニュースを見聞きし、不安やストレスに襲われることが多かった。

「世界が崩壊しつつあるように見えるのに、ズーム会議とやることリストに追われている自分の毎日がくだらないと感じた」とリーは話す。

 リーはある時点で、そのような感情は自分のメンタルヘルス、そして生産性にとってよくないと気づいた。自分のマインドセットを変える必要があることを認識したのだ。そこで、ニュースをチェックするのをやめることにした。「私はニュースばかり気にしていた。ツイッターからも離れる必要があった」

 そのうえで、リーは自分の仕事とパーパスについて考える時間をつくった。

「考えた結果、頭に浮かんだのは『責務』という言葉だった」と彼は言う。「自分自身のことや、問題と思っていたことから意識を反らす必要があることに気がついた。そこで、視点を切り変えて、自分が生活のためにしている仕事が、いかに他者のニーズを満たす助けになっているかを理解する必要があった」

 リーはチームの同僚に声をかけ、自分の仕事がどのように役立っているかを教えてもらうことで、新たな視点を得ることができた。

 彼の仕事は、マーケティング戦略を策定し、臨床部門の医療サービスが促進されるように支援することだった。それはUCLAの臨床医だけでなく、患者にとっても必要不可欠な業務だった。リーの仕事のおかげで、患者は自分がどのような医療サービスを受けられるかについて、多くの情報を得ることができるからだ。

 リーは、自分にとって何がモチベーションになっているか、仕事で最も楽しいことは何かについても考えてみた。そのおかげで、自分のスキルと才能は何か善いことのために使えるのだと気がついた。

「時間と費用は限られたリソースだから、賢明な使い方をしなくてはいけない」と彼は言う。「私のアイデアは、効果的であると同時に、費用対効果の高いものでなくてはならない。難しい課題だが、私にとっては、取り組んでいて楽しいと感じる仕事の一つだ」

 リーは最終的に、いまの仕事がより深いレベルで自分を満たしてくれることを思い出した。「私はただ物を売るためだけに、マーケティングをしているのではない」と彼は語る。「人々が必要な医療を受けられる場所をより簡単に見つけ、アクセスできるように手助けしている。これはコロナ禍の中では極めて重要だ」

 プロフェッショナルとしての究極の目標は、インパクトを与えることだと彼は言う。「責務という概念が、この混沌とした時期にも、精いっぱい仕事に集中するのを助けてくれている」