感情状態を訓練する

 催眠療法士である筆者の仕事の一つは、その人の役に立たなくなった習慣や行動を見直す手助けをすることだ。もう一つは、そのパターンをより健全なパターンに置き換えることであり、その一環として目標設定を行う場合が多い。

 筆者が最初に行うのは、シンプルな問いかけだ。「あなたは、どんな気分になりたいですか」

「自信が持てるようになりたい」と即答する人もいれば、「人に会う前の不安が嫌」とやめたいことがはっきりしている人もいる。後者の場合には、質問を少し変えてみる。「どうなったら、もう怖くないと言えますか。その恐怖を克服したら、どんな気分になりますか」

 こうした質問の狙いは、過去に人生の別の場面で経験したポジティブな感情を思い出させ、目標に伴うストレスの感情を和らげることだ。すると、変えたいと思っていることが、突如として可能に思えてくる。なぜなら、それが達成できた時の感覚を体現したからだ。 

 どうしてそうなるのだろうか。

 私たちは目標を立てる時、頭でっかちになりがちだ。何をすべきか、変えるべきか、食べるべきか、直すべきかと頭で考えている。

 成功には不屈の精神と自己規律が不可欠だとよく言われるが、ストレスが溜まっている時、私たちの体は脅威にさらされているように感じる。創造性や認識力、集中力、意思決定を司る、つまり変化を引き起こす脳の部位がシャットダウンするのだ。

 創意工夫に富む、ポジティブな気分を引き出す状況をイメージする方法は、ニューエイジ系のつまらない啓発とは違う。モチベーションを高める、効果的な手法だ。

 研究によれば、ある行動をイメージすると、実際にその行動を行った時と同じ脳の部位が刺激されることがわかっている。特に、成功をイメージすることと目標の達成は相関関係にあることが示されている。

 試しにやってみよう。

「明日、目が覚めたら、望み通りの気分で、望み通りのことをやっている」とイメージする。楽しみにしているプロジェクトがあるだろうか。特定の相手とよい時間を過ごしているだろうか。これらはほんの数例にすぎない。

 次は、体に意識を向けよう。胸に温かみを感じるだろうか。軽さや自由さはどうだろう。目標について考えている時には、そうした感覚を得るべきなのだ。

 たとえば、砂浜を走っている自分をイメージした人は、運動や健康に関する目標を立てたかもしれない。だが、大事なのは、運動をしながらどのような気分になりたいか、たとえば軽やかな足取り、頑健な脚、頭のキレといった感覚をイメージするのも忘れないことだ。

 自分にとって意味のある目標とは何か。それを達成した時、どのような気持ちになるのか。誰とどこにいても、自分の頭の中にあるヒントを集めよう。