パンデミックが起きる前は、従来の典型的なスーパーマーケットのSKU数は1万5000~6万だった。

 この数は驚くほど多いと思うかもしれないが、ジャムや紅茶の種類が100以上(ブランド、フレーバー、サイズ、異なる種類のパッケージを含む)あることを考えると、納得できるだろう。アイホップの以前のメニューは12ページにわたり、マクドナルドはハンバーガーやマックナゲットに加えて、サラダやヨーグルトパフェ、ベーグルなども提供していた。

 このように種類が多いと、無駄やミス、研修コストが増え、従業員の生産性が低下し、彼らが優れたサービスを提供できるだけの知識を持つことが難しくなる。

 顧客にとっては、種類の多さは価格の高さや決断疲れにつながることが多い。シーナ・アイエンガーとマーク・レッパーの研究(有名なジャムの研究を含む)によると、顧客は少ない選択肢を提示されたほうが購買意欲が高まることがわかっている。

 トレーダージョーズ、コストコ、イン・アンド・アウト・バーガー、テキサス・ロードハウスを含む一部の小売店やレストランチェーンでは、簡略化された商品提供が成功戦略となってきた。これらのチェーン店は、顧客満足度がスーパーマーケットレストランの業界で常にトップクラスで、財務的にも競合他社を上回ってきた。

 パンデミックの前には、商品を慎重に減らして成果を上げた企業が他にもあった。サムズ・クラブの元CEOのジョン・ファーナーは、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローンスクール・オブ・マネジメントの筆者(ゼイネップ)のMBAクラスを最近訪れた際、「(SKUの)数が減るにつれ、クラブの運営がしやすくなり、在庫状況もよくなった。最も際立ったのは会員の反応で、SKUを20%削減したところ、会員から新たな品揃えについて感謝された」と語った。

 ある電動歯ブラシを置いていることで、お礼を言いに来た会員もいたという。それは10年前から扱っていたのだが、見つけるのが難しかったのだ。

 パンデミック前にメニューを30%縮小したロングホーン・ステーキハウスのジーン・リーCEOも、オペレーションの簡略化が功を奏したと話している。